山梨・身延山No.380★★地図で見る →

身延山久遠寺

history穴場——実はすごい

山梨南部の山中に鎌倉時代に開かれた日蓮宗の総本山。三門から本堂へは287段の石段「菩提梯」が一直線に上がり、門前の宿坊に泊まれば朝のお勤めに参列できる。

身延山久遠寺
実写(ライセンス済み)Yoshio Kohara / CC BY 3.0

身延といえばまず石段の話になる。その評判は正しい。三門から菩提梯が山腹をまっすぐ287段登っていく。下から見上げても上端は見えないほど急で、しかも「きつい」ことが設計に入っている——この石段は、一段ずつ悟りへ登る道として意味づけられている。斜行エレベーターがあり、なだらかな迂回路もあり、使うのはまったく普通のことだ。ただ、ここへ来る理由は登ることではない。朝5時半に起きることのほうにある。久遠寺は数百年の実践が途切れていない現役の総本山で、本堂の朝のお勤め——太鼓、唱和される題目、暗い堂に響く数百の声、そのあいだに山が明けていく——は、その場にいる人なら誰でも入れる。つまり実質、前の晩に泊まるということだ。門前には参拝者を受け入れる宿坊があり、精進料理を出し、朝に起こしてくれる。それをすると身延は日帰りの目的地ではなくなり、本来設計されたとおりの場所になる。

なぜ穴場のままか

日本の寺参りの多くは、たまたま今も機能している建物を昼間に観光することになりがちだ。身延は逆で、中心にあるのは夜明けの法要であり、それに出る標準的な方法が「前夜に門前へ泊まる」ことになっている。東日本でそれをもっとも実行しやすい場所のひとつだ。

歴史・背景

日蓮は1274年に身延山へ入り、晩年をここで教えを説いて過ごした。そこから育った寺が久遠寺——日蓮宗の総本山であり、以来この山は参詣の中心であり続けている。境内には再建復元された五重塔と、山梨県公式が樹齢400年と記すしだれ桜があり、見頃は3月下旬から4月上旬。境内の奥からはロープウェイが山頂近くの奥之院思親閣へ上がる。日蓮が両親を思ったと伝わる場所だ。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Ippukucho / CC BY 3.0
菩提梯
三門から境内へ287段。一直線で、途中に踊り場らしい踊り場もなく、意図的に厳しい
三門と本堂
石段の下に構える巨大な木造の門と、登りきった先の本堂。お勤めはここで行われる
五重塔
境内に再建された塔。杉木立から抜けて立ち、石段に次いで撮られる被写体
奥之院思親閣
境内の奥からロープウェイで上がる山頂の堂。晴れた日には富士山と南アルプスが見える

おすすめの楽しみ方

境内は無料で、早朝から歩ける。法要は一日を通して営まれ、朝のお勤めは5時半ごろ始まる——時刻は季節で動くので、寺の公式サイトか宿坊で確認しておくこと。宝物館は別料金。身延を成立させる行き方は、門前の宿坊に泊まり、夜は精進料理を食べ、朝のお勤めに出てから石段を登ることだ。3月下旬から4月上旬はしだれ桜の時期で、山でもっとも混む。2日みておきたい——東京からの移動が長く、日帰りだと山にいる時間がほとんど残らない。

実際の行き方

起点
新宿駅
所要
約3時間30分 · 特急+ローカル線+バス
降車
身延山バス停(終点・徒歩約10分)
  1. 新宿駅→甲府駅(JR中央本線 特急・約90分)。
  2. 甲府→身延駅(JR身延線・約90分)、身延山行きバスで終点まで(約15分)。
  3. 坂を徒歩約10分で三門、287段を登って本堂へ。さらにロープウェイで奥之院思親閣。
新宿→甲府→身延、そこから山のバス
新宿駅→(JR中央本線 特急あずさ/かいじ 甲府方面・約90分)→甲府駅→(JR身延線に乗換・約90分)→身延駅。駅から身延山行きのバスで約15分、終点下車。そこから徒歩約10分で三門に着く。計およそ3時間30分。身延線は単線のローカル線で本数が限られる——出発前に当日の時刻表を確認すること。
同じ経路で戻る、または南下して静岡へ
バスで身延駅に戻り、身延線で甲府へ、特急あずさで新宿へ。あるいは身延線を南下して富士へ抜け、新富士から東海道新幹線に乗る手もある。所要は近く、西へ向かうなら有利。ローカル線は本数が少ないので、帰りの列車は日が暮れる前に決めておく。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
境内は無料。宝物館と身延山ロープウェイは別料金。宿坊は各坊に直接予約・支払いする。門前町は小さく、カード対応がまちまちなので現金を用意しておくこと。
定休
法要の時刻は季節で変わる。朝のお勤めは5時半ごろだが、当てにする前に確認を。287段は本当に急で、斜行エレベーターやなだらかな迂回路は理由があって存在している——使うことに引け目を感じる必要はない。冬の朝の山は、東京の感覚で服を選ぶと完全に足りない寒さになる。
別ルート
東海道新幹線で静岡へ出て、特急ふじかわで身延線を北上する経路もある。車窓がよく、甲府経由より速いこともある。車なら中央道+中部横断道で約3時間。
降りたあと
身延山バス停(終点)から門前町の坂を上がる。宿坊・土産物屋・参拝用品店が並ぶ通りを徒歩約10分で、石段の下の三門に着く。

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