東京圏・茨城県大洗町No.370★★地図で見る →
大洗磯前神社 神磯の鳥居
茨城の太平洋岸に鎮座する古社。斉衡3年(856年)の創建と伝わる。象徴は社殿の下、波に洗われる岩礁に立つ「神磯の鳥居」で、その中から朝日が昇る。

神社は大洗の太平洋を見下ろす低い崖の上にある。ただし誰もが目指すものは、境内にはない。参道の下、波が砕けるあたりの黒い岩礁に、鳥居が一基だけ立っている。これが神磯——神の磯だ。社伝は、斉衡3年(856年)12月、大己貴命と少彦名命がこの岩の上に降臨したと記す。鳥居は入口ではなく降臨の地を示しているから、背後に何もないまま海の中に立っている。真東の外洋に正対していて、そのために有名になった一点が起きる。鳥居の中から日が昇るのだ。晴れた朝、海は黒から鋼へ、そして銅へ変わり、柱の根元で白い飛沫が割れ、数分のあいだ太陽が枠の中に収まる。元旦には神職が磯へ下り、初日の出を拝む奉拝式が執り行われる。石段を上がった社殿はそれに比べれば静かで、朱の随神門と社殿が崖の上に建ち、木々の間から海が見える。
なぜ穴場のままか
東京発の訪日ルートは西と南——箱根・富士・鎌倉——に流れ、北東の太平洋岸へはまず向かわない。だから2時間の距離にありながら茨城は視界に入っていない。しかもここは、桜でも夕景でもなく「日の出」を軸に成立している珍しい場所だ。つまり空気がいちばん澄み、海岸から人が消える真冬に本領を発揮する。
歴史・背景
平安の勅撰史書『日本文徳天皇実録』によれば、斉衡3年(856年)、大己貴命と少彦名命が神磯に降臨したとされる。社殿は戦国期の兵火で焼失し、長く荒廃したが、水戸藩2代藩主・徳川光圀が再興に着手し、次代で完成した。光圀は神磯の景を称えたとも伝わる。江戸期の再建による本殿・拝殿・随神門は現存し、茨城県の指定文化財となっている。大洗はもともと太平洋岸の漁業と港の町として発展し、この神社はいまも町の中心的な目印であり続けている。
見どころ(歩く順)

- 神磯の鳥居
- 社殿の下の岩礁に立つ鳥居。神が降り立ったと伝わる地を示し、その中から日が昇る
- 石段の参道と随神門
- 崖を上がる急な石段と朱の随神門。登るにつれて背後に太平洋が開けていく
- 江戸期再建の社殿
- 水戸徳川家のもとで再建され、県指定文化財となっている。磯の賑わいに比べると静か
- 崖下の海岸線
- 左右どちらへも岩と波の開けた海岸が続く。一日の最初の1時間で光がまったく変わる
おすすめの楽しみ方
日の出に行くか、行かないなら半分の旅にしかならない。東京の始発では夜明けに間に合わないので、前夜に大洗か水戸に泊まるか、光が平坦になる午前中の訪問を受け入れるか、どちらかになる。日の出時刻と潮位は確認しておくこと。満潮のほうが絵は劇的だが、安全に立てる場所は減る。岩の上に登らず、護岸と表示された範囲から見ること。波は前触れなく越えてくる。元旦は壮観だがきわめて混む。冬の晴れた朝ならどの日でも同じ配置が起きて、しかもほとんど人がいない。
実際の行き方
- 東京駅→水戸駅(JR常磐線特急「ときわ」・約1時間10分)。
- 水戸駅→大洗駅(鹿島臨海鉄道・約15分)。
- 大洗駅→大洗磯前神社下(循環バス海遊号・約16分)、徒歩約5分。
- 先に護岸から神磯の鳥居を見て、それから石段を上がって社殿へ。
- 特急で水戸へ、鹿島臨海鉄道に乗り換え
- 東京駅→(JR常磐線特急「ときわ」・約1時間10分)→水戸駅→(鹿島臨海鉄道大洗鹿島線・約15分)→大洗駅。大洗駅から循環バス「海遊号」で約16分、「大洗磯前神社下」下車、徒歩約5分。駅から歩く場合は約30分。
- 同じ経路を戻る
- 大洗磯前神社下→大洗駅(海遊号・約16分)→(鹿島臨海鉄道・約15分)→水戸駅→(JR常磐線特急 品川方面・約1時間10分)→東京駅。海遊号は早朝には走らないので、夜明け前に行くなら大洗駅からタクシーか、近くに前泊することになる。
行く前に
- 現金
- 境内は無料。御朱印や授与品は社務所で現金のみ。JR常磐線はICカード(Suica/PASMO)が使えるが、鹿島臨海鉄道は別会社なので水戸で紙のきっぷを買い、循環バス用の現金も持っておくこと。
- 定休
- 境内と磯はいつでも入れるが、社務所は日中の時間帯のみ。御朱印・授与品は通常時間の訪問が必要になる。元旦は奉拝式に大変な人出があり、周辺の交通も規制される。荒天時は波が岩礁を越え、下の見学スペースが閉鎖されることがある。
- 別ルート
- 車なら北関東自動車道の大洗インターから約10分で、神社脇に駐車場がある。日の出目当ての国内客はほとんど車で来る。水戸からは路線バスでも大洗へ入れる。アクアワールド大洗やフェリーターミナルと組めば海沿いで一日になる。
- 降りたあと
- 大洗駅から海へ向かって東。神磯の鳥居は境内ではなく、石段の参道の下で海岸道路を渡った先の護岸から見る。社殿はその背後、石段を上がった上にある。