奈良南部・天川村No.328★★地図で見る →
洞川温泉
大峯山を登る行者の宿場として育った、奈良の山中の木造温泉街。夕暮れに軒の提灯が灯る。名水と陀羅尼助の村でもある。

洞川は奈良の南、天川村の谷あいにある。この村があるのは、頭上の山のためだ。大峯山は千年以上にわたって修験道の行場であり、洞川は登る前の行者が泊まり、湯に浸かり、薬を買う場所だった。その役目が建物のかたちを決めている。通りに面して深い縁側を張り出した二階建ての木造旅館——客が外に座って道を眺められるように造られた宿が、今も同じ家によって営まれている。湯はやわらかな弱アルカリ性。冷たい水の村としても知られ、名水を汲みに来る人が絶えない。それでも人が戻ってくる理由は、やはり提灯だ。街灯と軒提灯が同時に灯ると、通り全体が和紙の色になる。
なぜ穴場のままか
国内では名の通った温泉地だが、終点まで1日数本のバスしか通わない数百人の村にある。訪れる外国人はほとんどおらず、英語の情報も乏しい。
歴史・背景
洞川は大峯山へ向かう修験の行者を泊める宿場として発展した。修験道の開祖は7世紀の役行者と伝えられる。村はずれの龍泉寺は、登拝前に行者が水行を行う場として続いてきた。また洞川は、行者が山から持ち帰った苦い胃腸薬「陀羅尼助(だらにすけ)」の里でもあり、今も村の店が調製して売っている。
見どころ(歩く順)

- 夕暮れの提灯通り
- 深い縁側を張り出した木造旅館が並び、軒の提灯が灯る
- 龍泉寺
- 大峯山へ登る前に行者が水行を行う、村の入口の寺
- 面不動鍾乳洞
- 村を見下ろす小さな鍾乳洞。モノレール状のケーブルで上がる
- ごろごろ水
- 村はずれの名水。ポリタンクを持って汲みに来る人が絶えない
おすすめの楽しみ方
泊まれるなら泊まりたい。この通りが最も良いのは日が落ちてからで、そもそも帰りのバスは午後で終わる。宿は浴衣と下駄を貸してくれるので、それで通りを歩くのが土地の夜の過ごし方だ。昼はみたらい渓谷、夜は提灯——この順で。
実際の行き方
- 大阪阿部野橋駅→下市口駅(近鉄吉野線 特急・約65〜70分)。
- 下市口駅→洞川温泉(奈良交通バス・約60〜70分・終点)。
- バス停から一本道の温泉街へ。公衆浴場・龍泉寺・鍾乳洞の入口はすべてこの通り沿い。
- 近鉄+奈良交通バス
- 大阪阿部野橋駅→(近鉄南大阪線・吉野線 特急・約65〜70分)→下市口駅→(奈良交通バス 洞川温泉行き・約60〜70分)→終点 洞川温泉。計 約2時間20分。バスは1日数本しかないので、出発前に当日の時刻表を確認し、下市口で接続する列車を選ぶこと。
- 同じ経路を戻る
- 下市口駅へ戻るバスも同じく本数が少なく、最終は午後に出る。着いたらまず洞川温泉バス停の掲示で帰りの時刻を確認しておくこと。乗り逃すと鉄道はなく、峠越えのタクシーしか手段がない。
行く前に
- 現金
- 奈良交通バスはICカード(ICOCA・Suica等)利用可。下市口からの運賃は約1,480円。村には海外発行カードが使えるATMがほぼないので、入浴・食事・買い物の現金は持参を。
- 定休
- ここは観光地というより現役の行者の拠点。村の上の山上ヶ岳は宗教上の理由から今も女人禁制が続いている。温泉街・鍾乳洞・渓谷は誰でも歩ける。
- 別ルート
- みたらい渓谷(エメラルド色の淵と滝、吊り橋が続く)は谷を下ってバスまたは徒歩ですぐ。昼は渓谷、夜は提灯、が定番の組み方。
- 降りたあと
- バスは温泉街の通りそのものが終点。公衆浴場・ビジターセンター・多くの旅館は停留所から徒歩数分の範囲にある。