兵庫・姫路No.339★★地図で見る →
書写山圓教寺
姫路の街を見下ろす標高371メートルの書写山にある天台宗の古刹。966年創建で、ロープウェイで山上へ。岩盤に舞台造で建つ摩尼殿と、杉木立の広場を囲む三棟の大伽藍がある。

姫路駅で城の人混みを置いていく。バスで市街のはずれまで出て、4分のロープウェイで標高371メートルまで一気に上がる。山上駅からはまだ歩く。石の観音像が点々と並ぶ杉林の道を約20分——脚を使いたくなければ山上バスもある。そして摩尼殿が現れる。斜面に打ち込まれた長い柱の上に建ち、舞台が岩の上へ張り出している。清水寺と同じ懸造だが、下に広がるのは街ではなく樹海だけだ。尾根をさらに進むと三之堂。広場をコの字に囲んで三棟が向かい合う。講義のための大講堂、歩行禅の常行堂、そして長さ40メートル近い二階建ての食堂。この規模の食堂は建築としても珍しく、足が止まる。2003年、トム・クルーズ主演『ラスト サムライ』はこの広場で撮られた。どの角度を向いても近代のものが写り込まない——理由はそれで十分だ。
なぜ穴場のままか
多くの旅行者にとって姫路は「城の街」で、城が閉まれば終わる。圓教寺はその一日をもう半日ぶん伸ばし、しかもまったく別の質感を出してくる。白い漆喰と行列ではなく、黒い木材と杉の影と山の静けさが、同じ駅から45分の場所にある。西国三十三所で最大の伽藍でもあるので、山中の小さなお堂を想像していると規模に驚かされる。
歴史・背景
圓教寺は966年、性空上人が静寂を求めて書写山に入り、そのまま道場を開いたのが始まり。天台宗の庇護のもとで西日本有数の修行の場に育ち、比叡山になぞらえて「西の比叡山」と呼ばれた。平安期から歩き継がれてきた西国三十三所観音霊場の第二十七番札所であり、その中で最大規模の伽藍を持つ。摩尼殿は1921年に焼失し、1933年に元の舞台造で再建された。三之堂の三棟はいずれも重要文化財で、現在の姿は室町期にさかのぼる。
見どころ(歩く順)

- 摩尼殿
- 岩盤に長い柱を立てた懸造の本堂。1921年の火災後、1933年に元の形で再建された
- 食堂(じきどう)
- 長さ40メートル近い二階建て。この規模・形式の食堂は稀少。重要文化財で、現在は寺宝の展示場
- 大講堂・常行堂
- 三之堂のうち残る二棟。『ラスト サムライ』が撮られた広場を挟んで食堂と向かい合う
- 奥之院・開山堂
- 尾根の突き当たり。日帰り客の大半はここまで来ない
おすすめの楽しみ方
姫路駅から往復で3時間、山上を歩きで通すなら4時間を見ておきたい。ロープウェイ山上駅から摩尼殿までの杉林の道は省かないほうがいい。石の観音像が続き、百メートル進むごとに人が減る。紅葉は11月中〜下旬、新緑は5月がいちばん。山上は市街よりはっきり涼しいので羽織るものを一枚。下りの最終便は季節で変わり、平日は16:45という日もある。上がる前に必ず確認を——乗り逃がすと長い徒歩下山になる。
実際の行き方
- 姫路駅北口8番のりば→書写山ロープウェイ(神姫バス・約25分・終点下車)。
- 山麓駅→山上駅(ロープウェイ4分・毎時00/15/30/45分発)。
- 山上駅→摩尼殿(杉林の道を徒歩約20分、または山上バス)。
- 姫路駅からバス、そこからロープウェイ
- 姫路駅北口→神姫バス8番のりば「書写山ロープウェイ」行きで終点(約25分)→書写山ロープウェイで山上駅へ(4分・毎時00/15/30/45分発)→杉林の道を徒歩約20分で摩尼殿、または山上バス利用。姫路は山陽新幹線の停車駅で、新大阪から約30分。
- ロープウェイで下り、同じバスで姫路駅へ
- ロープウェイの上り始発は通年8:30。下りの最終は季節によって変わり、平日は夕方前に終わる日もある。切符を買うときに山麓駅でその日の最終時刻を確認しておくこと。神姫バスは姫路駅北口へ戻る。
行く前に
- 現金
- ロープウェイは大人片道700円・往復1,200円。拝観志納金は中学生以上800円、小学生500円。山上シャトルバス込みの特別志納金は1,300円。バスはICカード(ICOCA・Suica)が使えるが、山門の志納金は現金を用意しておくこと。
- 定休
- ロープウェイは毎日8:30運行開始。下り最終は季節変動があり、平日はおおむね17時前後、日祝はやや遅くまで。強風・落雷時は運休、年次点検による休業日もある。乗車前に公式サイト(mt-shosha.info)で確認を。
- 別ルート
- 山麓から書写山を歩いて登る参道もある。所要約1時間、それなりの靴で。残り半日は姫路城と隣接する好古園でちょうど埋まる。
- 降りたあと
- 姫路駅は北口(城側)へ出て8番のりばへ。行き先表示は「書写山ロープウェイ」。終点まで乗り、バスの転回場から少し歩けばロープウェイ山麓駅。