和歌山南部・串本No.287★地図で見る →
橋杭岩
〜海へ歩き出す四十余りの橋脚〜
串本の海岸から約850メートル、四十余りの岩柱が沖へ一列に並ぶ。国の名勝であり天然記念物でもある。

本州最南端に近い町・串本の沖に、紀伊大島へ向かって岩の柱が一列に並んでいる。誰かが橋を架けかけて途中でやめたような姿から橋杭岩と呼ばれ、実際そういう伝説が残る。弘法大師と天邪鬼が一夜で橋を架ける賭けをし、負けを悟った天邪鬼が鶏の鳴きまねをしたため工事は止まり、橋脚だけが残ったという話だ。ただし、地質の筋書きのほうが奇妙である。堆積岩の地層に細長くマグマが入り込んで固まり、その後の浸食でやわらかい堆積岩のほうが削られていった結果、硬いマグマの部分だけが柱となって取り残された。足元に転がる巨石は橋杭岩から崩れて運ばれたもので、巨大地震の津波が動かしたと考えられている。
なぜ穴場のままか
国の名勝と天然記念物の二重指定を受け、吉野熊野国立公園にも含まれる。それでいて大阪から特急で約4時間、乗る人の少ない紀勢本線の先にある。これだけの造形が、たいてい数人と広い駐車場だけで見られる。
歴史・背景
橋杭、すなわち橋の脚。人はこの列をずっと架けかけの橋として読んできた。国の名勝と天然記念物の二重指定を受け、吉野熊野国立公園に含まれる。現在は南紀熊野ジオパークのジオサイトでもあり、マグマの貫入と浸食という筋書きは伝説任せにされず、海岸の解説板で読める。足元の津波石も同じ記録の一部で、この海岸を繰り返し襲ってきた巨大地震の物証だ。串本はそれを見どころであると同時に、警告として語っている。
見どころ

- 850メートルの岩列
- 四十余りの岩柱が、海岸から紀伊大島へ向かってほぼ一直線に並ぶ。
- 岩の隙間から昇る朝日
- 列は東を向いているため、夜明けの光は岩柱のあいだから差してくる。
- 津波石
- 列から崩れて内陸へ運ばれた巨石。過去の津波が動かしたと考えられている。
- 道の駅くしもと橋杭岩
- 岩のすぐ足元にある道の駅。駐車場・トイレ・地元産品が揃う。
おすすめの楽しみ方
狙うのは夜明け。東向きの列にまっすぐ日が昇り、この一時間だけ、あの広すぎる駐車場の意味がわかる。20分先の本州最南端・潮岬と組み合わせるか、那智の滝と白浜のあいだの一泊地として串本を使うのがいい。撮影目的でなければ、海岸で30分あれば足りる。
実際の行き方
- 新大阪駅→串本駅(JR特急くろしお・約4時間)
- 串本駅→橋杭岩(国道42号を北東へ徒歩約20分)
- 特急くろしお、串本駅から徒歩
- 新大阪駅→(JR特急くろしお・白浜/新宮方面、約4時間)→串本駅→国道42号を古座方面へ、海を右手に北東へ徒歩約20分。合計およそ4時間20分。
- 往路を戻る、または先に潮岬へ
- 串本駅まで徒歩約20分、特急くろしおで新大阪方面へ。夕方以降は上りの本数が細るので、出発前に最終を確認しておくこと。幹線の感覚より早い時間で終わる。
行く前に
- 現金
- 現金を用意しておく。岩のすぐ横の道の駅ではカードが使えるが、路線バスや小さな売店は小銭のほうが早い。
- 定休
- 潮の満ち引きのある海岸に立っている。干潮時は手前の岩まで歩けるが、足元は不安定な岩場で、潮の戻りは見た目より速い。砂浜を離れる前に潮位を確認し、岩には登らないこと。
- 別ルート
- 串本駅から国道42号を走る路線バスがあり、道の駅前の「橋杭岩」バス停に停まる。駅からタクシーなら約2分。
- 降りたあと
- 串本駅を出て国道42号に入り、古座方面(北東)へ。海を右手に約1.5キロ進むと、道の駅の駐車場と岩の列が同時に見えてくる。平坦な道で約20分。