山梨・清里(八ヶ岳南麓)No.381★★地図で見る →
清里高原・萌木の村
〜標高1200mの森に回る木馬〜
八ヶ岳南麓、標高約1200mの高原リゾート。萌木の村は、レストランや工房、オルゴール博物館、メリーゴーラウンドを通り沿いに並べず、木々の庭の中に散らして置いている。

清里は不思議で、少し胸に来る場所だ。高原リゾートとしてつくられ、1980年代に日本の若者のあいだで爆発的に流行し、やがて人波は去り、いま来る人数よりずっと多くを想定した建物が山の上に残された。その周期を生き延びたのは、いい部分のほうだ。萌木の村はその最もはっきりした例で、店が並ぶ通りではなく、小径の通る林の庭になっている。ブルワリーレストラン、工房、オルゴール博物館、小さなホテル——それぞれが木のあいだに置かれているので、通り過ぎるのではなく、次々に出くわす感じになる。真ん中あたりの空き地では、メリーゴーラウンドが回っている。まわりに遊園地はなく、行列もない。ただ森の中にある。それは遊園地の回転木馬より、はるかに奇妙で、はるかにいい体験だ。ブルワリーレストランでは八ヶ岳ビールを自家醸造し、カレーは全国に知られている。標高1200m、8月の空気は東京とは別の物質でできていて、そもそも人がここまで上がってきた理由はそれだった。
なぜ穴場のままか
清里は、リゾートの熱狂と衰退とその後を、ひと歩きで見られる数少ない場所だ。ずっと賑わっていた時代のインフラが残り、人はもういない。そして萌木の村に残ったもの——工房、醸造所、オルゴールのコレクション、木立の回転木馬——は本当に質が高く、平日はほとんど無人だ。
歴史・背景
清里の成り立ちには、1920年代に来日したアメリカ人ポール・ラッシュがいる。彼はこの高原を農業と教育のモデル共同体として開発し、清泉寮を興し、のちのKEEP協会につながる活動を進めた。積み重なってできたのではなく、設計されてできた——日本の観光地としては珍しい経緯だ。1980年代を通じて若い旅行者の目的地として沸き、その後静かになった。萌木の村は、自然の庭のなかに独立した店・工房・飲食店が集まる形で育ってきた。夏には特設野外劇場で、木々の下の屋外舞台として「清里フィールドバレエ」が上演される。
見どころ(歩く順)

- ホール・オブ・ホールズ
- オルゴール博物館。アンティークの自動演奏楽器やストリートオルガンを、ガラス越しでなく実演で聴かせる
- メリーゴーラウンド
- 木立の空き地に立つ回転木馬。まわりに遊園地はない
- ブルワリーレストラン ROCK
- 自家醸造の八ヶ岳ビールと、全国に知られたカレー
- ナチュラルガーデンと工房
- 村全体がその中にある植栽の庭。独立した工房やショップが点々と散らばっている
おすすめの楽しみ方
入村は無料。営業時間は店舗ごとに異なるので、特に夏以外は行く日の営業を村の公式サイトで確認しておくこと。清里駅から徒歩約10分、車なら中央自動車道・須玉ICから約20分。ピークは8月——特設野外劇場で清里フィールドバレエが上演され、高原がいちばんいい季節でもある。ただ、カラマツが色づいて人がほとんどいない9月下旬から10月のほうが、この場所には似合うかもしれない。少し離れた清泉寮は清里のもうひとつの顔で、ソフトクリームだけのために寄る価値がある。
実際の行き方
- 新宿駅→小淵沢駅(JR中央本線 特急あずさ・約2時間)。
- 小淵沢→清里駅(JR小海線・約25分)。着いたら帰りの時刻表を確認しておく。
- 徒歩約10分で萌木の村へ。ナチュラルガーデンと工房から入り、ホール・オブ・ホールズ、メリーゴーラウンド、ROCKへ。
- 新宿→小淵沢→小海線で清里へ
- 新宿駅→(JR中央本線 特急あずさ 松本方面・約2時間)→小淵沢駅→(JR小海線に乗換・約25分)→清里駅。駅から萌木の村までは徒歩約10分。計およそ2時間30分。小海線は車窓のいい単線のローカル線だが本数が少ない——あずさの到着時刻に対して接続を確認しておくこと。
- 小海線で小淵沢へ戻る
- 小海線で小淵沢へ戻り、特急あずさで新宿へ。小海線は本数が少なく比較的早い時間で終わるので、「夕方には電車があるだろう」と思わず、着いた時点で使える最終便を控えておくこと。
行く前に
- 現金
- 入村は無料。博物館・メリーゴーラウンド・レストラン・工房はそれぞれ個別に料金がある。大きな施設はおおむねカードが使えるが、小さな工房用に現金も持っておくといい。
- 定休
- 営業時間は店舗ごとに異なり、夏以外は休む店もある——冬や早春に行くなら事前に村の公式サイトで確認を。標高1200mなので真夏でも夕方は冷える。東京の予報がどうであれ、羽織るものを1枚。
- 別ルート
- 車なら中央自動車道・須玉ICから約20分。清泉寮や八ヶ岳南麓一帯と組み合わせやすい。ひとつの村に留まらず高原を動き回りたいなら、車のほうが現実的だ。
- 降りたあと
- 清里駅から幹線道路沿いを南東へ徒歩約10分。入口は駐車場ではなく木立へ開いているので、看板を目印にすること。