東京圏・山梨県甲府市/甲斐市No.285★地図で見る →
昇仙峡
甲府の奥、風化した花崗岩の断崖と奇岩が続く渓谷。国指定の特別名勝で、直立約180mの覚円峰と、落差30mの仙娥滝を最奥に持つ。

昇仙峡は甲府の背後の山へ分け入る渓谷で、秩父多摩甲斐国立公園に含まれる。谷全体が「水が花崗岩に何をするか」の長い実例になっている。柔らかい部分が削り取られ、硬い芯だけが残った——切り立った岩壁、孤立した岩峰、そして先端がわずかに離れた天然のアーチ「石門」。中心にあるのが覚円峰だ。直立約180mの花崗岩の峰で、名は沢庵禅師の弟子・覚円がその頂上で修行したことに由来する。渓谷の最奥、覚円峰のふもとには仙娥滝。地殻変動の断層に沿って生まれた落差30mの滝で、いまも花崗岩の岩肌を削りながら落ちている。全国観光地百選の渓谷の部で第1位、平成百景で第2位。国の特別名勝——景勝地としては最上位の指定を受けている。紅葉の見頃は10月中旬から11月下旬。
なぜ穴場のままか
山梨を訪れる外国人客の流れはほぼ全て富士五湖に向かい、甲府の反対側にあるこの渓谷はまったく別種の景観だ——湖と円錐ではなく、垂直の花崗岩。しかも国内で百件に満たない「特別名勝」の指定を持つ。
歴史・背景
この渓谷は、花崗岩の岩体が長い時間をかけて川に風化・浸食された結果として刻まれたもので、いま見える岩柱や岩壁はその硬い部分が残ったものだ。仙娥滝は、地殻変動によって岩体に生じた断層のところにできた。渓谷は景勝路であると同時に修行の場でもあり、「覚円峰」という名そのものが、頂上で修行した僧の記録になっている。近代の道が通ったのは20世紀初頭で、渓谷の入口に架かる長潭橋は大正14年(1925年)竣工。山梨県内最古のコンクリートアーチ道路橋で、2012年に土木遺産に認定された。下流には貯水量1,080万トンのロックフィル式ダム、荒川ダムがある。
見どころ

- 覚円峰
- 直立約180mの花崗岩の峰。周囲が風化して削られ、硬い芯が残った。名は頂上で修行した沢庵禅師の弟子・覚円に由来する
- 仙娥滝
- 覚円峰のふもと、渓谷最奥にかかる落差30mの滝。断層に沿って生まれ、いまも花崗岩を削り続けている
- 石門
- 巨大な花崗岩が架かる天然のアーチ。近づいて見上げると、先端が隣の岩にわずかに触れていないのが分かる
- 長潭橋
- 大正14年(1925年)竣工、山梨県内最古のコンクリートアーチ道路橋。2012年に土木遺産認定。渓谷の下側の入口を示す
- 天鼓林
- 山梨県天然記念物。地面を踏み鳴らすと、鼓のような共鳴音が返ってくる
- 板敷渓谷 大滝
- 隣の板敷渓谷にかかる高さ30mの滝。時間に余裕があれば足を延ばせる
おすすめの楽しみ方
楽な回り方は、バスで昇仙峡滝上まで上がり、そこから仙娥滝へ下って、石門・覚円峰と自分のペースで下っていく形。ただ、いい回り方は下の入口で降りて登ることだ。道は終始川に沿っているので、奇岩が一度に現れず順番に出てくる。紅葉の見頃は10月中旬〜11月下旬で、その時期は道もバスも混む。平日と11月の日曜では、まったく別の場所だと思ったほうがいい。
実際の行き方
- 新宿駅→甲府駅(JR中央本線特急・約90分)。
- 甲府駅→昇仙峡滝上バス停(山梨交通バス・約50分)。
- 昇仙峡滝上→仙娥滝→覚円峰→石門(渓谷の道を歩いて下る)。
- 新宿から特急で甲府、そこからバス
- 新宿駅→(JR中央本線特急「あずさ」/「かいじ」・約90分)→甲府駅。駅のバスターミナルから昇仙峡方面のバスに乗り、約50分で昇仙峡滝上バス停。仙娥滝のすぐ上の、渓谷の最上部に着く。バスの本数は多くないので、帰りの時刻を決める前に時刻表を確認すること。
- バスで甲府へ戻り特急で新宿
- 昇仙峡滝上からバスで甲府駅へ(約50分)、JR中央本線特急で新宿へ(約90分)。紅葉シーズン以外は本数がかなり減り、下りの最終も早い。到着時にバス停で必ず確認を。
行く前に
- 現金
- JRはICカードで問題ないが、路線バスと渓谷沿いの店のために現金を用意しておく。渓谷を歩くこと自体は無料。ロープウェイや個別施設は別料金。車の場合、駐車場は普通車300台・バス50台。
- 定休
- いつでも歩けるが、道は川沿いの岩場。雨の後は滑りやすく、暗くなると照明はない。紅葉のピークは10月中旬〜11月下旬で、道路もバスも混雑する。
- 別ルート
- 下の昇仙峡入口で降りて仙娥滝まで遡上するのが、順番に見ていく本来の歩き方。車なら中央自動車道の甲府昭和ICから登り、主要な駐車場は渓谷の上側にある。隣の板敷渓谷は車でないと行きにくい。
- 降りたあと
- 昇仙峡滝上バス停は渓谷の最上部に直結している。少し下ると仙娥滝、さらに下って覚円峰、石門と続く。