京都・東山/岡崎No.374★★地図で見る →
永観堂 禅林寺
東山のふもとに建つ浄土宗西山禅林寺派の総本山。本尊は首を左後ろへ向けた立像の阿弥陀如来で、境内には約3000本の楓が茂る。

多くの人は紅葉を目当てに永観堂へ来る。池をとりまき斜面を登る約3000本の楓は、11月下旬には京都でもっとも撮られる風景のひとつになる。けれど、その奥まで登る人は意外と少ない。回廊の先の阿弥陀堂に立つ本尊は、首を鋭く左後ろへねじり、自分の肩越しに振り返っている。日本の仏像は正面を向き左右対称に造られるのが圧倒的な常で、振り向いた姿の本尊はほとんど例がない。寺の伝えでは、この姿は永観という僧に由来する。念仏を唱えながら堂内を歩いていた永観の前に阿弥陀が壇を下りて歩き出し、驚いて立ち止まった永観を振り返った——その一瞬が像になった。堂の上の斜面には多宝塔が建ち、その脇からは楓の海と京都の町が一度に開ける。
なぜ穴場のままか
永観堂は紅葉の名所として知られるため、人はほぼ11月の3週間に集中し、見るのは木だけになりがち。この寺の本当の特異点は本尊にある。正面性をほとんど崩さない日本の仏像の系譜で、振り向いた瞬間を彫った像は稀だ。紅葉ではなく像を目的にすると、寺の中身は濃くなり、しかも圧倒的に静かになる。
歴史・背景
創建は853年、正式な寺号は禅林寺という。それが「永観堂」の名で通るようになったのは、第七世・永観(1033〜1111)による。永観は寺で施薬院を営み、念仏を広めた僧で、みかえり阿弥陀の逸話もこの人に結びついている。現在は浄土宗西山禅林寺派の総本山。寺宝には国宝「絹本着色山越阿弥陀図」——山の向こうから現れる阿弥陀を描いた絵——があり、公開は限られた機会のみ。
見どころ(歩く順)

- みかえり阿弥陀
- 阿弥陀堂に立つ本尊。首を左後ろへ向けた、日本の仏像では異例の姿
- 臥龍廊
- 斜面をジグザグに登る木造の屋根付き回廊。堂と堂をつなぐ「臥せる龍」
- 多宝塔
- 堂の上の斜面に建つ二層の塔。脇の展望台から楓越しに京都の町を見渡せる
- 放生池と楓
- 境内下の池。約3000本の楓のうちもっとも密度が高いのがこのまわり
おすすめの楽しみ方
昼間の拝観は9:00〜17:00、受付は16:00で終了する。拝観料は季節によって変わり(京都府観光連盟の案内では一般1,000円・季節により変更あり)、11月の秋の寺宝展と夜間拝観は昼間とは別料金。11月は行列覚悟のピークだが、青もみじの6〜7月は同じ境内がほとんど無人で、像は何も変わらない。永観堂は南禅寺と塀を接し、哲学の道の起点も数分北。この3つで歩きの半日コースになる。
実際の行き方
- 京都駅→南禅寺・永観堂道バス停(市バス5系統・約30分)。
- 北へ徒歩約3分で永観堂の門。昼間の拝観券を購入(受付は16:00まで)。
- 放生池と楓を見てから臥龍廊を登り、みかえり阿弥陀へ。さらに多宝塔の展望台まで。
- 京都駅から市バス5系統で南禅寺・永観堂道へ
- 京都駅前のバスターミナルから市バス5系統(岩倉・銀閣寺方面)に乗り、約30分で「南禅寺・永観堂道」下車。そこから北へ徒歩約3分、南禅寺の参道を過ぎた右手に永観堂の門がある。バスは10分間隔ほどで来るが、京都の中心部を横断する路線なので渋滞で遅れることがある——週末は余裕をみておく。
- 同じ停留所から、または蹴上駅まで歩く
- 道の反対側の停留所から市バス5系統で京都駅方面へ戻る。バスが混んでいるようなら、南へ徒歩約15分の地下鉄東西線・蹴上駅から三条や烏丸御池へ。地下鉄は渋滞と無関係で、遅くまで動いている。
行く前に
- 現金
- 拝観料は季節により変動する(京都府観光連盟の案内では一般1,000円)。11月の秋の寺宝展・夜間拝観はそれぞれ別料金。受付は現金を用意しておくと確実。ICOCA・Suica等のICカードは市バスと地下鉄で使える。
- 定休
- 昼間の受付は閉門の1時間前、16:00で終わる。16:15に着いても入れない。11月は午前中から混み合い、夜間拝観は昼の拝観がいったん終わってから別券で入り直す形になる。
- 別ルート
- 地下鉄なら、京都駅から烏丸線で烏丸御池、東西線に乗り換えて蹴上(計約20分)、そこから徒歩約15分。バスの渋滞を完全に避けられる。
- 降りたあと
- 「南禅寺・永観堂道」バス停から北へ徒歩約3分。南禅寺への曲がり角を少し過ぎた東側、道から奥まったところに永観堂の門がある。