兵庫・豊岡No.342★★地図で見る →

玄武洞

nature穴場——実はすごい

山陰海岸ユネスコ世界ジオパークにある、六角柱が並ぶ川辺の断崖。1931年に国の天然記念物に指定された。1926年にここの岩石を測ったことが、地球の磁場が反転する最初の証拠になった。

玄武洞
実写(ライセンス済み)Samchan91 / CC BY-SA 4.0

川沿いの道から見上げると、最初は装飾のように見える。柱が扇を開き、うねり、積み重なる——冷えて固まったというより、誰かが組んだように見える。半分は本当だ。この柱が露出しているのは、江戸期から続いた採石のせい。石は壁や礎石として運び出され、その掘り跡が「洞」と呼ばれている。洞は五つ。玄武・青龍・白虎、そして北朱雀と南朱雀。中国の四神の名だ。名づけたのは1807年、儒学者の柴野栗山。渦を巻く柱の姿に、亀に蛇が絡む玄武を見たという。それから77年後、地質学者の小藤文次郎がその名を岩石そのものに借りた。英語のbasaltを日本語で「玄武岩」と呼ぶのは、この断崖に由来する。そして1926年、松山基範がここの岩の残留磁気を測ると、現在の地磁気と逆を向いていた。地球の磁極が入れ替わることを示す最初の確かな証拠であり、その時代は彼の名で「松山逆磁極期」と呼ばれている。

なぜ穴場のままか

柱状節理は世界各地にあるが、一国の言語で岩石名の由来になった場所は多くないし、プレートテクトニクスの成立に関わる発見が生まれた場所はさらに少ない。玄武洞はその両方だ。しかも日本屈指の保存された温泉町からバスで20分。城崎を軸に但馬を旅するなら、ここが一日の「地学」の半分を引き受けてくれる。

歴史・背景

この玄武岩は約160万年前、近隣の噴火で流れ出た溶岩が溜まってゆっくり冷え、収縮して六角形の柱状に割れたもの。江戸期からの採石が溶岩流を掘り込み、現在「洞」と呼ばれる五つの窪みを作った。切り出された石は周辺各地の石垣や礎石に使われている。1807年に柴野栗山が玄武洞と命名し、1884年に小藤文次郎がその名を日本語の岩石名に採用した。1926年の松山基範による古地磁気の研究は、のちに世界各地で裏づけられ、プレートテクトニクス理論の土台の一つとなった。1931年に国の天然記念物、現在は山陰海岸国立公園および山陰海岸ユネスコ世界ジオパークの中にある。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)AsPJT / CC0
玄武洞
最も大きな露頭。1807年にこの地の名を決めた、渦を巻く柱の並び
青龍洞
園内で最も長い柱状節理。ほぼ垂直に伸び、根元には水が溜まる
白虎洞と南北の朱雀洞
遊歩道の先に続く小ぶりな露頭。冷え固まった角度がそれぞれ違う
円山川沿いの眺め
戻り道から断崖を一枚に収められる。午後の低い光がいちばん柱の陰影を出す

おすすめの楽しみ方

滞在は1時間で足りる。五つの洞は舗装された短い周回路と階段でつながっている。20分の城崎温泉と組み合わせるのが自然で、午前に玄武洞、午後は外湯という流れがよく合う。紅葉は11月上旬から柱を縁取る。注意点が一つ。JR玄武洞駅は川の対岸にあり、渡る手段は隣接するミュージアムが運航する渡し船だけ(約7分・要予約)で、無人駅のうえ列車の本数も極端に少ない。城崎または豊岡からのバスが確実な行き方だ。

実際の行き方

起点
城崎温泉駅
所要
約20分 · 路線バス約20分
降車
玄武洞公園バス停(全但バス・城崎豊岡玄武洞線)
  1. 京都駅→城崎温泉駅(特急きのさき・約2時間30分)、または大阪駅→城崎温泉(特急こうのとり・約2時間45分)。
  2. 城崎温泉駅→玄武洞公園バス停(全但バス・約20分)。
  3. バス停→公園入口と五つの洞(舗装された短い周回路)。
城崎温泉または豊岡からバス
城崎温泉駅→全但バス「城崎豊岡玄武洞線」で「玄武洞公園」下車(約20分)。JR豊岡駅からも同じ路線が逆方向に走り、所要は同程度。城崎温泉へは京都から特急きのさき約2時間30分、大阪から特急こうのとり約2時間45分。
同じバスで城崎・豊岡方面へ
帰りは公園入口前の停留所から。本数は限られるので、到着時に時刻表を見て最終便を控えておくこと。現地にタクシー乗り場はない。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
入園料は大人500円、学生300円。20名以上の団体は400円・240円。受付で現金払い。全但バスとJRはICカード(ICOCA・Suica)が使える。園内にATMはない。
定休
9:00〜17:00(16:30以降は入園不可)。12月29日〜1月3日休園。雨のあとは遊歩道が滑りやすい。
別ルート
対岸のJR玄武洞駅からミュージアム前の船着場まで渡し船が約7分で結ぶ(片道500円・往復900円程度、要予約)。風情はあるが駅の列車本数が極端に少ないので、旅程の柱にはせず余興として考えたい。
降りたあと
玄武洞公園バス停は円山川の東岸、公園入口の目の前。渡し船を予約していないかぎりJR玄武洞駅を目指してはいけない——対岸で、近くに橋がない。

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