兵庫・豊岡No.341★★地図で見る →
出石の城下町
但馬の城下町で、国の重要伝統的建造物群保存地区。町の顔である辰鼓楼は1881年から時を刻み、名物の皿そばは一人前が小皿五枚で運ばれてくる。

バスを降りて最初に目に入るのが辰鼓楼。目抜き通りの起点、石垣の上に載った寸胴な木造の塔だ。1871年、旧三の丸大手門脇の櫓台に、時を告げる太鼓を打つために建てられた。十年後、地元の藩医・池口忠恕が機械式の大時計を寄贈し、1881年9月8日から太鼓ではなく文字盤で時を知らせるようになる。稼働開始は札幌時計台の27日後。つまり日本で二番目に古い時計台だ。その先には低い瓦屋根と白壁の町割が続き、南の端に出石城の石垣が段をなして立ち上がる。そして昼食。出石皿そばは一人前が出石焼の小皿五枚。一皿は一口か二口分で、卵・とろろ・ねぎ・大根おろし・わさびを組み替えながら食べ進める。この小さな町に約40軒。地元では、何皿食べたかが食欲の正直な物差しということになっている。
なぜ穴場のままか
出石は小さな町で二つのものを同時に出してくる。国指定を受けた本物の城下町の町並みと、この形でしか食べられない地域の麺文化。どちらか片方では大阪から3時間かける理由にならないが、隣の城崎温泉と合わせれば但馬はしっかり一つの旅程になる。そして辰鼓楼という、写真で一目で分かる顔がこの町にはある。
歴史・背景
出石は出石藩の城下町で、城は1604年に小出吉英が、背後の山城・有子山城の麓に築いたもの。1706年に仙石氏が信州上田から国替えとなり、そば職人を伴ってきた。地元の出石焼の白い小皿に盛る現在の様式はのちに定着し、町の名物になった。辰鼓楼は1871年建設、1881年に寄贈時計を得ている。1901年築の出石永楽館は近畿地方に現存する最古の芝居小屋で、2008年に復原・再開場した。町並みは2007年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたが、「但馬の小京都」という呼び名はそれよりずっと古い。
見どころ(歩く順)

- 辰鼓楼
- 1871年に鼓楼として建設、1881年9月8日から時計台として稼働。札幌に次いで日本で二番目に古い
- 出石城跡
- 町の南端に段をなす石垣と復元隅櫓。背後の斜面を朱の鳥居が連なって登っていく
- 出石永楽館
- 1901年築、近畿現存最古の芝居小屋。2008年復原で、回り舞台と奈落の機構まで見学できる
- 家老屋敷
- 江戸期の上級武士の屋敷。防備のために隠された二階がある
おすすめの楽しみ方
出石は昼に来る町だと考えて予定を組むといい。一軒に決め打ちせず食べ比べたいなら皿そば巡りの手形を買うこと。三軒で三皿ずつ食べられて、店ごとの違いは思ったよりはっきりしている。週末の12時から13時は満席になるので、早めか遅めに。保存地区の町歩きは約1時間、城跡はさらに30分ほど。そば屋の多くは夕方前に閉まり、日が落ちると町は静かになる——完全に日中の目的地だ。直通バスで1時間の城崎温泉に泊まる組み立てが地元の定番で、これは実際よくできている。
実際の行き方
- 大阪駅→JR豊岡駅(特急こうのとり・約2時間40分)、または京都駅→豊岡(特急きのさき・約2時間30分)。
- 豊岡駅→出石バスターミナル(全但バス・約30分・約590円)。
- 出石ターミナル→辰鼓楼と保存地区(徒歩約2分)。
- 特急で豊岡へ、そこから全但バス
- 大阪・京都→JR豊岡駅(大阪から特急こうのとり約2時間40分、京都から特急きのさき約2時間30分)→全但バス「出石」行きで約30分・約590円、町の中心の出石バスターミナル下車。城崎温泉からは直通バスで約1時間。
- 同じバスで豊岡へ、または城崎温泉へ
- 豊岡駅行きは出石ターミナルから1時間に1本程度、最終は夕方前後。城崎温泉への直通便は本数が少ないので、そちらへ泊まるなら到着時にターミナルで時刻表を確認しておくこと。
行く前に
- 現金
- 町歩きは無料。皿そばは五皿の標準一人前でおよそ1,000〜1,500円、追加は皿単位で注文する。古い店は現金のみのこともある。出石城跡は無料、永楽館と家老屋敷は少額の入館料。ATMは限られるので豊岡で現金を用意しておくとよい。
- 定休
- 通りは常時歩ける。そば屋は11時ごろから営業し、17時前後、あるいはその日の生地が尽きた時点で閉める店が多い。永楽館・家老屋敷はおおむね9:00〜17:00で平日に休館日あり——公式サイト(toyooka-tourism.com)で確認を。
- 別ルート
- 七つの外湯を浴衣で巡る城崎温泉は直通バスで約1時間。出石で昼を食べ、城崎で泊まるのが自然な組み合わせ。
- 降りたあと
- 出石バスターミナルから辰鼓楼までは徒歩2分。塔はバス停から見えていて、町の中では方角の目印として使える。観光案内所はターミナルの隣。