滋賀・大津・瀬田川No.343★★地図で見る →
石山寺
滋賀県大津市・瀬田川のほとりに天平19年(747年)に創建された真言宗の寺。硅灰石の巨大な岩盤の上に建ち、紫式部が『源氏物語』を起筆した場所と伝わる。

石山寺は天平19年(747年)、聖武天皇の勅願により良弁が創建したと伝わる真言宗の大本山。「石山」の名は文字通りで、堂宇は硅灰石という淡い灰白色の巨大な岩盤の上と周囲に建てられている。山門から登っていくと、その岩が境内のただ中に突き出ている。国の天然記念物に指定された岩そのものが、この寺の中心にある。だがこの寺の名を決定づけたのは一人の女性だった。平安の宮廷に仕えた紫式部が参籠に訪れ、琵琶湖から昇る八月の月を眺めながら『源氏物語』を起筆したと伝わる。世界最古の長編小説とも呼ばれる作品が生まれた「源氏の間」は今も残り、机に向かう式部の姿とともに公開されている。
なぜ穴場のままか
30分先の京都の大寺が拝観者をほとんど吸い上げてしまうため、国宝の本堂・国宝の多宝塔・日本文学最大の作品の生誕地が揃っていながら、平日の石山寺は静かなままだ。現地に英語の解説がほとんどないので、月と源氏物語の結びつきに気づかず通り過ぎてしまう人も多い。
歴史・背景
747年、東大寺創建にも関わった良弁が聖武天皇の勅願を受けて開いたと伝わる。平安期には京の貴族の参詣先として親しまれ、日帰りできるほど近く、それでいて隠棲の気配を味わえる距離が好まれた。紫式部の参籠もその流れのなかにある。本堂は国宝で、内陣は平安時代にさかのぼる。その上の尾根に建つ多宝塔は建久5年(1194年)の建立で、こちらも国宝、日本でも最古級の多宝塔として知られる。ここから望む月は「石山秋月」として近江八景の一つに数えられた。
見どころ(歩く順)

- 硅灰石の岩盤
- 寺の名の由来となった淡灰色の結晶質の岩。国の天然記念物
- 本堂(国宝)
- 岩の上に懸造りで張り出した木造の大堂。内陣は平安時代にさかのぼる
- 源氏の間
- 本堂脇の小部屋。紫式部が『源氏物語』を起筆したと伝わり、机に向かう姿が置かれている
- 多宝塔(1194年)
- 本堂の上の尾根に建つ二層の塔。国宝で、現存する多宝塔として最古級
おすすめの楽しみ方
境内をひと通り歩くなら約90分。先に多宝塔まで登り、帰りに本堂と岩を見る順路のほうが良い。登り切ると瀬田川と琵琶湖方面の眺めが開け、下りながら岩を見上げる形になる。源氏物語だけでなく花の寺でもあり、2月下旬からの梅、4月の桜、6月の花菖蒲、11月中旬の紅葉と季節ごとに表情が変わる。最も静かなのは平日の午前。時間があれば下流の瀬田唐橋や大津の湖岸まで足を延ばすと午後がちょうど埋まる。
実際の行き方
- 京都駅→石山駅(JR琵琶湖線・約13分・毎時数本)。
- 石山駅→徒歩1分の京阪石山駅→石山寺駅(京阪石山坂本線・2駅・約4分)。
- 石山寺駅→瀬田川沿いを徒歩約10分で東大門。
- 京都駅から石山寺駅へ(JR+京阪)
- 京都駅からJR琵琶湖線の草津・米原方面行きで石山駅へ(約13分・毎時数本)。改札を出て徒歩1分の京阪石山駅から京阪石山坂本線に乗り換え、2駅・約4分で石山寺駅。そこから瀬田川沿いを平坦に約10分歩くと東大門に着く。計約35分。
- 帰りも石山寺駅から同じ経路で
- 石山寺駅から京阪線で石山へ戻り、JR琵琶湖線で京都方面へ。どちらの路線も夜遅くまで本数が多いので、帰りの時刻を気にする必要はない。大阪方面へもそのまま出られる。
行く前に
- 現金
- 入山料は大人600円程度で、東大門で支払う。本堂内陣や寺内の展示施設は別料金。JR・京阪ともICOCA・Suica等のICカードが使える。
- 定休
- 開門8時・入山受付は16時頃までなので、午後の早い時間までに着きたい。多宝塔へ登る道は岩の上の石段で足元が不均一なため、歩きやすい靴で。梅(2月下旬〜3月)・桜・11月中旬の紅葉の時期が最も混み合う。
- 別ルート
- 大阪方面からはJR琵琶湖線の新快速で石山駅まで乗り換えなし約40分、そこから同じ京阪の接続。天気が良ければ石山駅から瀬田川沿いを約30分歩いても行ける。
- 降りたあと
- 石山寺駅を出て川の方向へ。瀬田川の岸を上流へ約10分たどると、道が川から離れる角の左手に東大門が現れる。