奈良・宇陀No.336★★地図で見る →

女人高野・室生寺

history穴場——実はすごい

高野山が女性の入山を認めなかった時代に、女性の参拝を受け入れた山寺。「女人高野」と呼ばれる所以で、高さ約16メートルの五重塔は屋外に立つ古塔として国内最小。

女人高野・室生寺
実写(ライセンス済み)KishujiRapid / CC BY-SA 4.0

参道に入った瞬間から、この寺の性格が伝わってくる。朱塗りの欄干の橋で室生川を渡り、門をくぐると、鎧坂と呼ばれる幅の広い石段が始まる。両側の杉が高く、光は緑色に濾されて降りてくる。登りきったところに建つのが国宝の金堂。柿葺きの屋根の下に、これも国宝の釈迦如来立像が立つ。さらに石段を上がると、右手の小さな平場に五重塔が現れる。高さ約16メートル。屋外に立つ古塔としては日本最小で、見上げるというより全体を目に収める感覚に近い。1998年の台風で倒れた杉が直撃し、上層が大きく損傷したが、二年をかけて修復され、いまその痕跡は見えない。塔のさらに上、数百段の急な石段の先が奥之院の御影堂。全員が登るわけではない。登った人だけが、この谷の静けさを独り占めできる。

なぜ穴場のままか

奈良を訪れる人の多くは、平地の大寺だけを見て帰る。室生寺は東へもう1時間かかるが、市内では手に入らないものがある——本当に古い建築、一級の仏像、そして東大寺の同じ午後とは比べものにならない人の少なさ。「女人高野」という一本の物語があるので、誰かに話したときにも伝わりやすい。

歴史・背景

室生寺の創建は8世紀末。もともとこの谷は雨乞いと龍神信仰の地だった。のちに真言宗の寺となり、現在は真言宗室生寺派の大本山を務める。この寺を特別にしているのは教義ではなく、扱いのほうだ。南に約80キロ離れた高野山は、1872年まで女性の入山を禁じていた。室生寺は禁じなかった。江戸期以降、真言の教えに触れたい女性たちはこちらへ足を運んだ。「女人高野」の呼び名はその時代に生まれている。仏像5体と堂宇3棟が国宝に指定されている。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Tawashi2006 / CC BY-SA 3.0
鎧坂の石段
杉に覆われた幅広の石段。この寺で最も写真に撮られる参道
金堂(国宝)
柿葺きの屋根の下に国宝の釈迦如来立像と十一面観音立像が並ぶ
五重塔
高さ約16メートル、屋外の古塔では国内最小。1998年の台風で倒木に押し潰され、修復を経て今の姿に
奥之院・御影堂
塔からさらに数百段の急な石段の先。境内でいちばん静かな場所

おすすめの楽しみ方

滞在は1時間ではなく2時間半を見ておきたい。登ること自体がこの寺の体験だから。シャクナゲは4月中旬〜5月中旬、約3,000株が石段沿いを埋める。紅葉は11月。冬は閉門が早く、上の石段が凍ることもある。宝物殿は別料金だが、平安初期の彫刻に関心があるなら価値がある。駅からのバスは1時間に1本程度で午後は本数が減るので、着いたらまず帰りの時刻表を撮っておくこと。

実際の行き方

起点
大阪難波駅
所要
約1時間50分 · 近鉄急行+バス
降車
室生口大野駅(近鉄大阪線)
  1. 大阪難波駅→室生口大野駅(近鉄大阪線急行・約1時間25分。鶴橋または大阪上本町で乗り継ぎ)。
  2. 室生口大野駅→「室生寺前」バス停(奈良交通バス・約14分・1時間に1本程度)。
  3. 室生寺前→山門(橋を渡って徒歩約5分)。
近鉄大阪線で東へ、駅から谷を上るバス
大阪難波駅→(近鉄大阪線・名古屋/榛原方面の急行。鶴橋または大阪上本町で乗り継ぎ。約1時間25分)→室生口大野駅→奈良交通バス「室生寺」行きで「室生寺前」下車(約14分)→朱塗りの橋を渡って徒歩約5分。京都からは近鉄京都線で大和八木へ出て大阪線に乗り換える。
同じバスで室生口大野駅へ戻り、急行で西へ
帰りのバスは橋のたもとの同じ停留所から。おおむね1時間に1本で、最終は夕方。到着時に必ず時刻を確認しておく。室生口大野駅からは近鉄大阪線の急行で大阪上本町・難波方面へ。
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行く前に

現金
拝観料は大人600円、小学生400円。宝物殿は別に400円。拝観料は山門で現金払い。近鉄と奈良交通バスはICカード(ICOCA・Suica)が使える。村内にATMはないので、現金は市街で用意しておくこと。
定休
4月1日〜11月30日は8:30〜17:00、12月1日〜3月31日は9:00〜16:00。通年開門。積雪・荒天時は奥之院への石段が閉鎖されることがある。
別ルート
牡丹で知られる長谷寺は同じ近鉄大阪線で大阪寄りに数駅。朝早く出れば、この2寺を1日でまとめて回れる。
降りたあと
室生口大野駅は出口が1つ。正面のバス乗り場へ出れば、室生寺行きが実質唯一の路線。「室生寺前」で降りたら、朱塗りの欄干の橋を渡り、土産物店の並びを抜けて徒歩約5分で山門。

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