
長野南・駒ヶ根No.777★★地図で見る →
千畳敷カール
〜ロープウェイで着く氷河地形〜
中央アルプス宝剣岳の真下、氷河が削ったお椀型のくぼみ。その底にロープウェイの駅がある。平らな遊歩道が一周しているので、高山帯に登らずに立てる。ただし寒さの覚悟だけは要る。
- 起点駒ヶ根駅
- 約1時間山岳バス+駒ヶ岳ロープウェイ
- 降車しらび平駅(中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ)
- そこから
- 千畳敷カール
狙い目
千畳敷は無名の場所ではない。中央アルプスの看板であり、秋の週末にはロープウェイに行列ができる。見落とされやすいのは、この場所が来る側に何を求めているかのほうだ。登らずに着けるから、みんな谷の服装のまま降り立つ。そして季節がひとつずれた空気の中に出る。観光協会が着脱しやすい服装を勧めているのは、そういう理由だと思う。駅の付いた高山の散歩、と考えておけば噛み合う。
場所
長野のほかの記事 27件・地図で開く →見どころ(歩く順)

- 千畳敷駅カールの縁に建つロープウェイの終点とホテル。扉を出るとすぐ展望台
- 遊歩道の周回路カール底に渡した平らな道。高山植物を踏ませないための造り
- カールの壁底をぐるりと囲む削られた岩壁。夏の盛りまで雪がルンゼに残る
- 宝剣岳くぼみの頭上に鋭く立つ岩峰
- 乗越浄土への登路カールの奥の壁を直登する道。ここから先は遊歩道ではなく登山になる
実際の行き方
- 駒ヶ根駅→菅の台バスセンター→しらび平(山岳バス)。
- しらび平から駒ヶ岳ロープウェイで千畳敷駅へ。
- 展望台に出てから、遊歩道を一周する。
- 帰りも同じロープウェイ。並ぶ時間を見て早めに戻る。
- 駒ヶ根駅から山のバスで
- JR飯田線の駒ヶ根駅から、駒ヶ岳の道をバスで上がってロープウェイのしらび平駅へ。マイカーは途中で止められる。菅の台バスセンターに車を置いて乗り換える決まりなので、結局みんな同じバスで山に着く。しらび平から上はロープウェイしかない。
- 駒ヶ根駅へ下る
- 帰りも同じロープウェイと同じバス。どちらも最終が、夏の夕方の感覚より早い。詰まるのはロープウェイのほうで、混む日は下りにも待ちが出る。時刻表どおりよりは余裕を見て動き出したい。
どんな場所か
このくぼみは木曽山脈の宝剣岳の真下にある。まわりの山肌は険しいのに、ここだけ底が平らだ。氷が削って均し、壁だけを立てて去っていったからである。千畳敷駅はその底、標高2,612mに扉を開く。索道まで数えれば日本でいちばん高いところにある駅だ。ロープウェイは谷から950mを一気に上がる。こちらも国内で最大の高低差になる。結果としてここには珍しいものができた。扉のついた高山帯である。雪も裸の岩も高山植物も、一日歩いた先ではなく敷居の外から始まっている。
おすすめの楽しみ方
ロープウェイは約7分30秒、遊歩道の一周は約45分。数字だけ見れば午前中で収まるが、そこが落とし穴で、麓の待ち時間のほうが長くなる日がある。秋の週末は早く着いたほうがいい。上着は思っているより一枚多く持つ。谷と駅とでは季節がひとつずれる。周回路の途中に買える場所はない。さらに上を目指すなら、乗越浄土への登りはカールの奥から始まる。こちらは別の行為で、靴と天気の確認が先に要る。
歴史・背景
このくぼみを彫ったのは、最終氷期の氷だ。谷の源頭を埋めた氷が底を平らに削り、壁を立ち上げた。岩の表面の年代測定は、その仕事をおよそ二万年前に置いている。くぼみの下流に残るモレーンが、氷がどこまで下りていたかを示している。人が来るようになったのはずっと後で、しかも機械に乗って来た。ロープウェイの開業は1967年7月。上に道のない谷から一気に上がる索道ができたことで、この山は長い歩きから午後の行き先に変わった。そして頂上の駅は、それ以来ずっと国内でいちばん高い駅であり続けている。
行く前に
- 現金
- きっぷはバスとロープウェイをまとめた形で麓で買う。運賃は運営が公表していて改定もあるので、当日確認したい。菅の台の駐車料金は別会計になる。頂上にホテルと食事処はあるが、補給をあてにして上がる場所ではない。
- 知っておきたいこと
- ロープウェイは通年運行だが、風が強ければ止まる。点検の運休期間も事前に告知される。カール底の雪は遅くまで残り、初夏は遊歩道が雪の下にあることもある。冬のカールは雪崩の斜面で、決められた道を外れないことは注意書きではなく前提だ。
- 別ルート
- 車で来るなら道は菅の台バスセンターまで。駐車場があり、その上の山道はマイカー通行止めになっている。つまり車は駒ヶ根まで早く着くのには役立ち、そこから上では役に立たない。
- 降りたあと
- しらび平はバスの折り返し場とロープウェイの乗り場だけの場所で、降りたらそのまま列に並ぶことになる。上の千畳敷駅も、出口のすぐ先から遊歩道が始まる。どちらの端にもアプローチの歩きはない。歩くのは全部カールの底だ。
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距離は地図上の直線で、移動時間ではありません。