群馬西北部・中之条No.292★地図で見る →
四万温泉
国立公園内、標高700メートルの渓谷に伸びる温泉地。1954年に国民保養温泉地の第一号として指定された三カ所のひとつで、飲泉できる湯と川沿いの宿、そして谷の奥に鮮やかな青の湖がある。

四万温泉は、標高およそ700メートルの細い渓谷に沿って、宿が数キロにわたって点在する温泉地だ。上信越高原国立公園の中にある。「四万の病に効く」という言い伝えがそのまま地名になっており、鎌倉のころにはすでに湯治場として知られていた。開湯伝説は坂上田村麻呂の東征にさかのぼる。そして1954年、当時の厚生省が「歓楽ではなく療養に向く温泉地」という区分をつくったとき、最初に指定された三カ所が青森の酸ヶ湯、栃木の日光湯元、そしてこの四万だった。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物硫酸塩泉。源泉は40〜80度と高温だが、口に含めるやわらかさがあり、街には共同の飲泉所が置かれている。宿は37軒ほど。渓谷に散らばっているぶん、いわゆる「温泉街の一本道」にはならない。
なぜ穴場のままか
群馬の温泉と聞けば、まず草津が挙がる。湯畑と湯もみという分かりやすい絵があるからだ。四万にはそれがない。川と青い湖と、飲める湯——一枚の写真に落ちない魅力なので、そもそも候補に上がってこない。
歴史・背景
四万は近代以前から療養の湯だった。地名そのものが「四万の病に効く」という主張であり、開湯譚は坂上田村麻呂の東征に結びつけられている。近代の性格を決定づけたのは1954年の国民保養温泉地指定である。湯量が豊富で泉質が療養に向き、数日の滞在に耐える環境がある土地——という区分が新設されたとき、四万は酸ヶ湯・日光湯元とともに最初の三カ所に選ばれた。この指定が街のかたちを決めた。歓楽街ではなく飲泉所と無料の足湯、一泊ではなく何度も湯に入ることを前提にした宿である。湯はリウマチ・神経痛・皮膚病に、飲めば胃腸に良いとされてきた。
見どころ

- 奥四万湖
- 谷の最奥にあるダム湖。光の条件が合うと水面が強い青に染まり、地元では四万ブルーと呼ばれる。湖畔には周回路がある。
- 四万の甌穴群
- 川の流れが河床の岩を削ってできた円い穴の群れ。街の下流側、遊歩道から見下ろせる。
- 共同飲泉所
- 口に含めるやわらかい湯で、街なかの飲泉所にはコップが備えてある。宿が独自に持っている場合も。
- 日向見の足湯
- 谷のいちばん奥、日向見地区にある無料の足湯。古い木造の薬師堂の傍らに湧く。
- 積善館
- 川に面して立つ木造の老舗宿。小さな朱の太鼓橋越しに見る姿が、この谷でもっとも撮られている一枚。
おすすめの楽しみ方
日帰りではなく一泊してほしい。何度も湯に入ることを前提にした場所だからこそ、療養温泉として指定されている。午前は下流の甌穴まで歩き、昼どきに奥四万湖へ上がる——青がいちばん濃く出る時間帯だ。共同飲泉所で一杯飲んでおくこと。この土地の本質はそこにある。渓谷の紅葉は10月上旬から11月中旬。
実際の行き方
- 東京駅 → 高崎駅(上越・北陸新幹線 約50分)
- 高崎駅 → 中之条駅(JR吾妻線 約1時間・本数少)
- 中之条駅 → 四万温泉(関越交通バス 約40分)
- 新幹線+JR吾妻線+バス
- 東京駅 →(上越・北陸新幹線 約50分)→ 高崎駅 →(JR吾妻線 約1時間)→ 中之条駅 →(関越交通バス 四万温泉行 約40分)→ 四万温泉。合計およそ3時間。吾妻線は本数が少ないので、高崎での接続を先に決めてから出発時刻を選ぶこと。
- 同じ経路を戻る
- 中之条駅行きの最終バスは夕方には出てしまい、吾妻線も日が落ちると間隔が空く。帰る日ではなく、着いた日にバスターミナルで両方の時刻を確認しておくのが安全。
行く前に
- 現金
- 現金を持っていくこと。渓谷沿いの共同浴場や小さな店は現金のみが多く、日帰り入浴も窓口払い。
- 定休
- 浴場の多くは営業中の宿のもので、日帰り開放は時間が決まっている。歩き出す前に、バスターミナル脇の観光案内所でその日入れる湯を聞いておくといい。
- 別ルート
- 上野駅からの特急「草津・四万」なら乗り換えなしで中之条まで2時間強。そこから同じバスで40分。
- 降りたあと
- 四万温泉ターミナルは、宿が並ぶ範囲の上手側。甌穴群は下流、奥四万湖はさらに上流にあるので、どちらも路線バスかタクシー、あるいはそれなりの徒歩になる。