京都市南部・伏見No.309★地図で見る →
伏見の酒蔵街
京都市南部、濠川沿いに白壁の酒蔵が並ぶ一帯。中心は月桂冠大倉記念館で、明治42年建造の酒蔵を改装した建物に市指定の酒造用具約400点を展示し、入館にきき酒3種が付く。

伏見は日本有数の酒どころで、その顔にあたるのが濠川沿いの一帯だ。白漆喰の壁と黒い瓦屋根の蔵が並び、その背は水に接している。かつて樽を運び出した水路である。ここに1637年創業の月桂冠があり、その真ん中で大倉記念館を営んでいる。建物は復元ではない。明治42年(1909)に建てられた実際の酒蔵を、展示用に改装したものだ。中にあるのは工業化以前の酒造りの現物である。1985年、京都市は月桂冠の酒造用具6,120点を有形民俗文化財に指定し、そのうちおよそ400点がここに並ぶ。木桶、酒樽、そして長い柄の櫂が、使われていた場所に立っている。
なぜ穴場のままか
日本の酒蔵観光はたいてい、試飲カウンターに土産物店が付いた形をとる。伏見で見落とされがちなのは、試飲が最も小さい部分だという点だ。ここで歩いているのは今も醸している街であり、通り過ぎる蔵は今も蔵として使われている。記念館が持つのはレプリカではなく、市の指定を受けた本物の道具の集積だ。展示のために来て、最後の3杯は脚注として扱うくらいでちょうどいい。
歴史・背景
月桂冠はこの地での創業を寛永14年(1637)とする。江戸時代を通じて、そして現在に至るまで伏見にあり続けた商いということになる。現在記念館となっている酒蔵が建てられたのは明治42年(1909)。産業が機械化へ向かいながら、木の道具がまだ日々使われていた時期であり、だからこそ道具一式がまとまって残った。1985年(昭和60年)、京都市はその酒造用具6,120点を有形民俗文化財に指定している。ひとつの業種に結びついた指定としては大きな部類だ。記念館はその同じ蔵の中に開かれ、約400点を展示する。周囲の街並みも、水運の時代が与えた低く白い蔵の輪郭をそのまま保っている。
見どころ

- 大倉記念館の建物
- 展示のために建てられた博物館ではなく、明治42年の酒蔵を改装したもの
- 指定を受けた酒造用具
- 1985年に京都市が指定した6,120点のうち約400点を展示。木桶、酒樽、櫂など
- きき酒のカウンター
- 季節ごとに入れ替わる約10種から3種。入館料に含まれる
- 濠川沿いの蔵並み
- 白漆喰の壁が水路に背を向けて並ぶ。かつて伏見から樽を運び出した水の道
おすすめの楽しみ方
きき酒の前に、展示へきちんと時間を割きたい。2階の道具を見てからだと、カウンターの3杯が「読める」ものに変わる。そのあとは駅へ直帰せず濠川沿いを歩くこと。この街の見え方をつくっているのは蔵の間口であり、そしてそれは無料だ。同じ鉄道の軸の北には伏見稲荷があり組み合わせやすいが、両方を一日に入れると長い一日になる。
実際の行き方
- 京都駅 → 東福寺駅(JR奈良線・約2分)
- 東福寺駅 → 中書島駅(京阪本線・約12分)
- 中書島駅 → 月桂冠大倉記念館(徒歩約5分)
- JR+京阪本線+徒歩
- 京都駅→(JR奈良線・約2分)→東福寺駅→(京阪本線 淀屋橋方面・約12分)→中書島駅→(徒歩約5分)→月桂冠大倉記念館。計およそ25分。どちらの路線も本数が多く、時刻表を組む必要はない。
- 同じ道、またはそのまま大阪へ
- 中書島まで歩いて戻り、京阪本線で東福寺、JRで京都駅へ(約20分)。中書島は大阪方面への直通線上でもあるので、南へ下って淀屋橋まで抜けるのも同じくらい容易。
行く前に
- 現金
- 記念館はカード対応だが、ここは古い商いの街で、濠川沿いの小さな酒販店や飲食店には現金のみの店がある。
- 定休
- きき酒は入館料に含まれ、そして本物の酒だ。運転するならカウンターでその旨を伝えれば代替がある。飲んでから濠川沿いの道を運転しないこと。
- 別ルート
- JR奈良線で桃山駅、または近鉄京都線で桃山御陵前駅から徒歩約10分。どちらも京都駅から乗車15分ほどで着く。
- 降りたあと
- 中書島駅から濠川の方向(北)へ。平坦な道を約5分。正しい区画に入れば白壁の蔵が続くので迷いようがない。