京都府南部・宇治No.308★地図で見る →
宇治の抹茶の街
宇治橋から平等院の表門まで約160m続く参道。ほぼ全戸が宇治茶の老舗と抹茶スイーツの店で埋まっている。茶を焙じる香りによって環境省の「かおり風景100選」に選ばれた通り。

平等院表参道は、宇治橋から世界遺産・平等院の表門へと下る参道だ。10円硬貨の鳳凰堂の、その門前にあたる。商店会の区間はおよそ160m。ほとんどすべての間口が茶である。宇治茶の老舗、座って飲める茶房、抹茶スイーツの店、量り売りの茶舗が軒を連ねる。この通りが特別なのは、においだ。ここでは茶をその場で焙じており、環境省の「かおり風景100選」にはその香りだけを理由として選ばれている。宇治橋側の端には創業を永暦元年(1160)とする通圓が立つ。この川辺の茶の商いは、観光の導線よりも何世紀も古い。
なぜ穴場のままか
ほとんどの人が、この通りを平等院へ向かう廊下として足早に通り過ぎる。見落とされがちなのは順番のほうだ。平等院の内部拝観は時間指定制で午後を丸ごと持っていくことがあり、一方でここの茶房は季節の抹茶スイーツを閉店前に切らす。先に食べる、少なくとも先に席を取る。そのあとで寺へ入る。
歴史・背景
宇治は何世紀にもわたって日本茶の代名詞であり続けてきた土地で、この参道はその商いが街道と交わる場所にあたる。宇治橋の東詰に立つ通圓は創業を永暦元年(1160)と伝え、事実であれば日本でも最も古く続く茶商のひとつということになる。店は今も橋と川に正対している。参道そのものの形は平等院に由来する。十一世紀に貴族の別業から寺へと改められたこの寺の門へ向かう参詣の人の流れが、そもそも道沿いに店を並べさせた。近代の商店会はその関係を制度として整え、環境省の「かおり風景100選」への選定は、この通りがずっとやってきたこと——路上で、人前で、茶を焙じること——をそのまま認めたものだった。
見どころ

- 参道の160m
- 茶商・茶房・スイーツ店が端から端まで。国の選定を受けた焙じ茶の香りが通り全体に漂う
- 宇治橋の通圓
- 創業を1160年とする茶屋。街道と川が出会う場所に、今も同じ向きで立つ
- 抹茶スイーツ
- パフェ、ソフト、抹茶そば。香料ではなく、その場で挽いた茶を使う店が並ぶ
- 宇治橋と宇治川
- 参道の上端はそのまま橋に開ける。川側の茶房からは流れを眺めながら座れる
おすすめの楽しみ方
店を決める前に、まず160mを一度通しで歩いてほしい。全長が短いので一往復は5分、それだけですべての行列が見える。3軒でつまむより、座って一服か一皿を頼むほうがいい。葉の質の差が体感として出るのは、腰を据えた茶房のほうだ。そのあとで参道の突き当たりにある平等院へ入り、内部拝観の時間指定券は着いた直後に押さえる。
実際の行き方
- 京都駅 → 宇治駅(JR奈良線 快速・約17〜20分)
- 宇治駅 → 宇治橋・平等院表参道の入口(徒歩約10分)
- JR奈良線+徒歩
- 京都駅→(JR奈良線 快速・約17〜20分)→宇治駅→(徒歩約10分/東へ出て川沿いを南へ)→宇治橋、参道の入口。列車は終日本数が多く、狙って乗る便はない。
- 同じ道、または京阪で抜ける
- JR宇治駅まで歩いて戻り、JR奈良線で京都へ(約17〜20分)。あるいは宇治橋を渡って京阪宇治駅へ出て、京阪宇治線で中書島、そこで京阪本線に乗り換える。京都駅ではなく伏見や大阪方面へ向かうならこちらが早い。
行く前に
- 現金
- 大きな茶舗はカード・IC対応だが、小さなカウンターや売店には現金のみの店がある。数千円を紙幣で持っておきたい。
- 定休
- ここは生活のある商店街。多くの茶舗は夕方前に閉まり、通りは日が落ちる前に静まる。夜ではなく昼の目的地だと考えること。
- 別ルート
- 京阪宇治駅は宇治橋の対岸にあり、JR宇治駅より参道に近い(徒歩約5分/JRは約10分)。すでに京阪線上にいるならこちらが有利。
- 降りたあと
- JR宇治駅から東へ出て川に当たり、川沿いを南へたどると宇治橋。参道はその西詰から始まり、平等院の表門まで続く。平坦な道を約10分。