神奈川・鎌倉No.402★★★地図で見る →
長谷寺
斜面に立つ寺で、本尊は像高9.18mの木造十一面観音。木造仏として日本有数の大きさを持つ。鎌倉大仏から徒歩5分の位置にあり、海の眺めとあじさいの道、弘法大師参籠と伝わる洞窟が加わる。

長谷寺は長谷駅と鎌倉大仏の中間、斜面の上に立っている。つまり多くの人がその門の前を素通りしていく。中にあるのは楠から彫り出された木造十一面観音立像、像高9.18m。国内でも有数の大きさの木彫仏だが、堂内は撮影できないため、青銅の大仏のようにSNSを流れていくことがない。寺は斜面を登る形に造られていて、参拝そのものが登りになる——下に池のある庭、中段に観音を納める観音堂、その上にあじさい路が斜面を巻いて続き、鎌倉の甍と相模湾の水面へ視界が開ける。ここのあじさいは白・青・ピンクが入り混じっていて、街の反対側の明月院のような単色の群植とは印象が違う。庭として見えるのはそのためだ。中段から下がると弁天窟がある。弘法大師参籠の地と伝わる洞窟で、壁面には弁財天と十六童子が彫られ、手探りで進むくらいの暗さに保たれている。
歴史・背景
寺伝では創建を天平8年(736年)とし、藤原房前が徳道上人を招いて観音像を本尊に開いたと伝える。ただし本尊そのものは、美術史的には室町期の作と考えられている。この年代の古刹にはよくある形で、寺という組織は中心に据えられた像より古い、ということになる。長谷の集落を見下ろす斜面という立地は、鎌倉が幕府の府になるよりも前から巡礼の道の上にあったことを意味し、鎌倉の宗教施設の多くが失われては建て直された時代を通じて、この寺は機能し続けた。
見どころ(歩く順)
- 十一面観音
- 観音堂に立つ像高9.18mの楠の木彫。木造仏として国内有数の大きさ。堂内は撮影不可
- あじさい路
- 観音堂の上を巻く斜面の道。白・青・ピンクが混じって植えられ、眼下に鎌倉の甍と相模湾
- 弁天窟
- 弘法大師参籠の地と伝わる低い洞窟。壁面に弁財天と十六童子が彫られ、進むのがやっとの明るさに保たれている
- 見晴台
- 中腹の開けた平場。長谷の町並みと逗子方面の海岸線がそのまま下に広がる
おすすめの楽しみ方
大仏の後ではなく先に回るのがいい。長谷寺は朝早くから開いていて、大仏は同じ道をさらに5分登った先にある。この順で歩けば、日が高くなる前に斜面を登り切れる。6月のあじさいの時期はあじさい路が整理券制になり、待ちが1時間を超えることもある。それが目的なら開門時刻に門にいること。季節を外せば斜面は静かで、海の眺めは変わらない。大仏からは大仏ハイキングコースで北鎌倉へ歩いて抜けるか、江ノ電で二駅先の鎌倉高校前の踏切へ向かうこともできる。
実際の行き方
- 東京駅→鎌倉駅(JR横須賀線・約55分)。
- 鎌倉駅→長谷駅(江ノ電・約5分)。
- 駅→山門(坂を徒歩・約5分)→観音堂の本尊→あじさい路と見晴台→弁天窟。
- 同じ道をさらに5分進んで鎌倉大仏へ。
- 東京駅→鎌倉→長谷駅(江ノ電)→徒歩
- 東京駅からJR横須賀線で鎌倉まで約55分。江ノ島電鉄に乗り換えて三駅、長谷まで約5分。寺は駅から坂を上がって徒歩約5分、案内も出ている。鎌倉大仏は同じ道をさらに5分進んだ先。
- 長谷駅→鎌倉駅→東京駅
- 江ノ電が12分間隔ほどで鎌倉へ戻り、JR横須賀線で東京へ。あるいは江ノ電を逆方向へ乗って江ノ島・藤沢まで抜け、小田急線で新宿へ出る手もある。
行く前に
- 現金
- 拝観料は門で支払う。現金を用意しておくとよい——江ノ電と寺の窓口は現金がいちばん確実(鉄道はICカードも使える)。大仏は別途拝観料がかかる。
- 定休
- 観音堂内の本尊は撮影禁止。6月のあじさいの時期は上のあじさい路が整理券制になり、定員に達すると締め切られる。寺が開いていても、その区画だけ入れないことがある。斜面は全体に階段が多く、洞窟は天井が低い。
- 別ルート
- 新宿からは小田急線で藤沢へ出て江ノ電を逆から乗ると所要はほぼ同じで、江の島・鎌倉フリーパスの対象になる。鎌倉駅からバスで「長谷観音」下車、門まで徒歩3分という行き方もある。
- 降りたあと
- 長谷駅の改札を出て右へ、坂を約5分上がる。道が大仏へ続く手前、左手に山門がある。