京都東・東山No.297★地図で見る →
高台寺
1606年、秀吉の正室ねねが開いた臨済宗の寺。高台寺蒔絵、小堀遠州作と伝わる庭園、春秋の夜間拝観で知られる。

1598年、秀吉が没する。正室・北政所——ねね——は出家して高台院湖月尼と号し、1606(慶長11)年、夫の菩提を弔うためにこの寺を開いた。すでに天下を手にしていた徳川家康は、多大な財政援助を行っている。寺自身の由緒がはっきり書いているとおり、それは信仰である以上に政治的配慮であり、結果として伽藍は壮麗をきわめた。夫婦が暮らした伏見城からは建物が移築され、東山の斜面に据え直された。ねね自身もこの寺に眠る。夫のために誂えた蒔絵の下、霊屋の中に。
なぜ穴場のままか
清水寺の参道からたった一本外れただけなのに、流れている時間の質がまるで違う。ひとりの女性の喪失が、金と漆で永久に固定されている場所だ。春と秋の夜間特別拝観は、この寺の本気の姿で、一晩を組む価値がある。
歴史・背景
高台寺は臨済宗建仁寺派に属し、秀吉の死から8年後の1606(慶長11)年、出家した北政所(高台院湖月尼)によって開創された。徳川家康の手厚い援助により伽藍は壮麗をきわめたと伝わる。現在も開山堂、霊屋、傘亭、時雨亭、表門、観月台などが残り、国の重要文化財に指定されている。霊屋の須弥壇と厨子には黒漆に金を置いた華麗な装飾が施され、「高台寺蒔絵」として桃山美術を代表するものとされる。開山堂を中心に東西へ広がる池泉回遊式庭園は小堀遠州の作と伝えられ、国の史跡・名勝に指定されている。
見どころ

- 霊屋
- ねねが眠る堂。秀吉の坐像を安置し、須弥壇と厨子に高台寺蒔絵が施されている。
- 傘亭・時雨亭
- 庭の上手に建つ二つの茶室。伏見城からの移築と伝わり、傘亭の天井は傘の骨のように放射状に開く。
- 小堀遠州の庭
- 開山堂を挟んで東西に広がる池泉回遊式庭園。国の史跡かつ名勝。
- 観月台
- 池の上の月を眺めるために設けられた屋根付きの台。重要文化財。
- 竹林の小径
- 茶室の裏から下る短い竹林。嵐山の竹林の、行列のない静かな版。
おすすめの楽しみ方
清水寺側からではなく、ねねの道から台所坂を上って入ること。この参道自体が体験の半分を占める。庭、霊屋、茶室をゆっくり見て1時間ほど。春と秋には夜間特別拝観があり、庭と竹林が闇のなかで照らされる——一晩を組むならこちらで、帰りに祇園へ下る流れが自然につながる。道を挟んだ圓徳院は庭を持つ小さな塔頭で、共通券が使える。
実際の行き方
- 京都駅→東山安井 バス停(京都市バス206系統・約20分)。
- 東山安井→高台寺(台所坂を上って徒歩・約5分)。
- 京都駅から市バス206系統
- 京都駅→(京都市バス206系統・東山通経由 北大路バスターミナル行・約20分)→東山安井→(東へ徒歩・上り・約5分)→高台寺。計 約30分。バスはすぐ満員になるので、座りたければ京都駅から乗ること。
- バスで戻る、または祇園へ下る
- 東山安井から206系統で折り返す。もしくは、ねねの道から祇園を抜けて京阪祇園四条駅まで徒歩約15分。夜間拝観のあとはバスが混むので、こちらのほうが確実。
行く前に
- 現金
- 拝観料は大人800円、中高生400円。小学生以下は保護者同伴で無料。隣の圓徳院との共通拝観券も山門で扱っている。現金を用意しておくこと。
- 定休
- ねねが眠る霊屋の内部は撮影が制限される。春秋の夜間特別拝観では夕方以降も開いているが、山門前の列が長くなる。開門直後か、最初の波が引いたあとを狙うのが賢い。
- 別ルート
- 京阪祇園四条駅からは祇園を抜けねねの道を上って徒歩約15分、阪急京都河原町駅からは約20分。
- 降りたあと
- 東山安井のバス停から東へ、上りを約5分。最後は台所坂——山門へ続く石畳の坂を上がる。