京都・東山No.405★★★地図で見る →
八坂の塔
東山の路地のただ中に立つ法観寺の五重塔、高さ46m。1440年の再建で、重要文化財の五重塔としては日本で唯一、内部に入って登ることができる。

東山の路地はこの塔を中心に配置されている。祇園から清水へ向かって坂を上がると、傾いた通りの突き当たりに塔が現れ、町家の屋根の間に収まる——京都で最も撮られている構図だ。高さ46mは、東寺と興福寺の五重塔に次いで日本で三番目にあたる。そして訪れる人がまず知らないのは、この塔が「開く」ということだ。日本の五重塔の多くは閉じた構造物で、人は外から眺めるしかない。だが法観寺の塔は、重要文化財に指定された五重塔として唯一、内部が公開され、急な階段で二層目まで登ることができる。塔全体を支える骨組みの中に立てるということだ。公開は不定期で、天候や寺の都合に左右されるため、予定に組み込むことはできない。正しい向き合い方は、通りかかったときに門が開いているか見て、開いていたら入る、というものだ。塔を囲む寺域は小さい。かつてはるかに大きかった伽藍のうち、実質この塔だけが残った。住宅街の中に奇妙なほど単独で立っている理由がそれだ。
歴史・背景
法観寺の創建は6世紀に遡ると伝えられる。事実であれば、平安京そのものより古い、京都盆地でも最古級の宗教施設ということになる。木造の塔の常として、塔は幾度も焼けた。現存するのは、1436年の大火で前身が失われた四年後、永享12年(1440年)に室町幕府六代将軍・足利義教が再建したものである。周囲の伽藍は数世紀をかけて順次失われ、塔だけが後世の家並みの中に取り残された。いま境内というより「通りの中のモニュメント」に見えるのは、そのためだ。
見どころ(歩く順)
- 八坂通から見る塔
- 塔の下に傾く路地。町家の屋根の間に塔が視界を塞ぐ、東山を決定づける構図
- 内部(公開日のみ)
- 骨組みの中を急な階段で二層目まで。内部を登れる重要文化財の五重塔は日本でここだけ
- 塔の孤立
- 家々の中にほとんど単独で立つ。かつての大伽藍のうち生き残った断片である
- 清水へ続く坂
- ここから産寧坂・二年坂が上へ続く。塔は立ち寄り先というより、道の蝶番として機能する
おすすめの楽しみ方
夜明けに来ること。この路地は午前半ば以降、京都でも指折りの混雑地になり、六時にはほとんど無人になる。塔は屋外にあって構図は何時でも無料なので、早く来て失うのは睡眠だけだ。目的地というより経由点として効く——下に八坂神社と祇園、上に産寧坂と清水寺があり、塔はその蝶番の位置に立つ。もし門が開いているのを見つけたら、迷わず入ること。次に来たときに開いている保証はない。なお周辺は住宅の路地で、私道には撮影禁止が明示された区画がある。塔の下の公道はその対象ではない。
実際の行き方
- 京都駅→東福寺駅(JR奈良線・約3分)、京阪本線に乗り換え。
- 東福寺駅→祇園四条駅(京阪・約5分)。
- 東へ、東山の路地を坂に沿って塔まで(徒歩12〜15分)。
- そのまま産寧坂・二年坂を上って清水寺へ。
- 京都駅→祇園四条駅→東山の路地を上る
- 京都駅からJR奈良線で一駅、東福寺で京阪本線に乗り換えて祇園四条まで、合計およそ15分。駅から東へ、東山の路地を坂に沿って12〜15分ほど上る。登りの大半で塔が正面に見えている。市バス206系統で清水道バス停まで行くと徒歩は短くなる。
- 祇園四条駅→京都駅
- 路地を下って祇園四条へ戻り、東福寺経由で往路を逆にたどる。京阪は遅くまで走っているので、夜明けに始めて東山で一日を使う組み方に合う。
行く前に
- 現金
- 通りから塔を眺めるのは無料。内部公開日は門で少額の拝観料を現金で払う。京阪と市バスはICカードが使える。
- 定休
- 内部公開は不定期で、天候と寺の都合に左右される。予定ではなく「当たれば儲けもの」として扱うこと。内部の階段は急で狭い。周辺は住宅の路地で、近隣の私道には撮影を全面禁止している区画がある。塔の下の公道はその対象ではない。
- 別ルート
- 市バス206・100系統が清水道バス停に停まり、塔まで徒歩約5分。阪急の京都河原町駅からでも、祇園四条からとほぼ同じ距離を歩く。
- 降りたあと
- 祇園四条駅から四条通を東へ八坂神社まで歩き、南へ折れて路地を上る。正面の視界を塔が塞ぐ。徒歩12〜15分。