埼玉・秩父山中No.401★★★地図で見る →

三峯神社

history王道を、いちばんいい形で

秩父の山深くに鎮まる神社。参道を守るのは狛犬ではなく狼だ。日本武尊の創建と伝わり、標高1,000mを超える山上に立ち、公共交通は1日5往復のバス一本しかない。

三峯神社
実写(ライセンス済み)Mkun / CC BY-SA 4.0

三峯神社は埼玉・秩父の山の高みにあり、この社を他と分けているのは門前に座るものの正体だ。日本のほとんどの神社が狛犬——対になった獅子と犬——を置くのに対し、三峯には狼がいる。江戸期、この山に棲んだ狼は「お犬さま」と呼ばれ、神の眷族として崇められた。この社が出す火防・盗難除けの護符は、関東一円へ配られていった。日本狼が絶滅して一世紀以上が経つが、石の狼は残っている。参道にも、末社の脇にも、数え切れないほど。祭神は国生みの神・伊弉諾尊と伊弉册尊。創建は、東征の途上でこの地に登った日本武尊によると伝えられる。拝殿の手前には三ツ鳥居が立つ。明神型の鳥居を三つ組み合わせた珍しい形式で、日本でも数えるほどの社にしかない。拝殿そのものは極彩色の彫刻で埋め尽くされていて、山中の社に多い素木の趣とはまるで違う、日光に近い系譜の意匠だ。なお山頂の奥宮は話が別で、妙法ヶ岳の頂まで山道を片道2時間ほど。ついでに寄る場所ではなく、独立した一日として組むべきものだ。

歴史・背景

創建は景行天皇の代、東征中の日本武尊がこの地に登り、伊弉諾尊・伊弉册尊の国造りを偲んで祀ったことに始まると伝わる。狼への信仰が強まるのは江戸期で、火防・盗難除けの護符が周辺諸国へ広まった。麓から社へはかつてロープウェイが通じていたが、施設の老朽化と金属疲労が判明したため2006年5月に運行休止、2007年12月に正式廃止された——現在、公共交通はバスだけである(2025年度に復活の可能性を探る調査が予定されている)。この社の人気を物語る近年の出来事もある。2012年から毎月1日だけ頒布された白い氣守は、最悪時に26kmの渋滞と7時間30分の入庫待ちを引き起こし、2018年6月をもって頒布が休止された。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Zengame / CC BY 2.0
狼の像
門前にも社殿の脇にも、狛犬の代わりに石の狼が座る。この社が関東の他のどことも似ていない理由がこれだ
三ツ鳥居
拝殿の手前に立つ、明神型鳥居を三つ組み合わせた一基。この形式をもつ社は日本でも数えるほどしかない
拝殿の彫刻
極彩色の彫刻が社殿を覆う。山の神社に多い素木づくりではなく、日光に近い系譜の意匠だ
隨神門と杉の参道
朱塗りの門と、そこへ至る杉の巨木の道。両側に秩父の山並みが落ちていく

おすすめの楽しみ方

制約はバスなので、社ではなくバスを軸に組み立てること。西武秩父駅から1日5往復、片道およそ75分。日帰りは可能だが余裕はないので、何かを登る前に帰りの時刻を確認しておく。眼下の谷を埋める雲海を見たいなら、日帰りでは手が届かない。社の宿坊・興雲閣に泊まって、夜明け前に外へ出るしかない。妙法ヶ岳の奥宮は午後の追加ではなく別の遠征として扱うこと——片道2時間ほどの本格的な山道だ。標高1,000mを超えるので、どの季節でも東京よりはっきり寒い。

実際の行き方

起点
池袋駅(東京)
所要
約2時間40分 · 特急+バス(1日5往復)
降車
三峯神社バス停(西武観光バス)
  1. 池袋駅→西武秩父駅(西武特急ラビュー・約80分・全席指定)。
  2. 西武秩父駅→三峯神社バス停(西武観光バス・約75分・1日5往復ほど)。
  3. 駐車場→杉の参道→隨神門→三ツ鳥居→拝殿(徒歩・約10分)。
池袋駅→西武秩父駅→三峯神社行きバス
池袋から西武の特急ラビューで西武秩父駅まで約80分、全席指定。駅前から西武観光バスの三峯神社行きに乗り、谷を登って約75分で社の駐車場に着く。バスは1日5往復ほど。これが社への唯一の公共交通なので、時刻表をその日の固定点として扱うこと。
三峯神社→西武秩父駅→池袋
同じバスが駐車場から戻るが本数は限られる。帰る時ではなく着いた時に最終便を確認しておくこと。西武秩父からは特急ラビューが夕方以降も池袋へ走っている。最終バスを逃すと、麓からタクシーを呼ぶ以外に下る手段がない。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
参拝は無料、宝物館は別料金。現金を用意しておくこと——山上の社で、売店もバスもカードより現金のほうが確実だ。西武線はICカードが使える。
定休
ロープウェイは無い。2006年に運行休止、2007年に廃止されているので、「ロープウェイで上がれる」と書いてある案内は古い情報だ。標高1,000m超で冬は積雪もあり、バスは天候により運休する。かつて月初に行列を生んだ白い氣守は2018年以降頒布されていない。
別ルート
秩父鉄道の三峰口駅からも同じバス路線に途中から乗れる。車なら秩父の谷の道を登って社の駐車場まで行けるが、道は狭く週末は混む。
降りたあと
バスは社の駐車場が終点。そこから杉木立と隨神門を抜けて、三ツ鳥居と拝殿まで徒歩約10分。

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