東京圏・千葉県富津市 房総No.356★★地図で見る →
マザー牧場
千葉県富津市・鹿野山の台地に広がる観光牧場。1960年代初頭の開場。羊・牛・アルパカ・馬がいて、季節の味覚狩り、大規模な花畑、小さな遊園地が同じ敷地に同居する。眼下には東京湾。

マザー牧場は、房総半島・富津市の鹿野山に広がる台地の上にある。眼下には東京湾、晴れた日には海の向こうに三浦半島が見える。開場は1960年代初頭。創設したのは新聞経営者の前田久吉で、彼のもう一つの遺した仕事が東京タワーの建設だった。「マザー」という名は飾りではない。貧しさの中で彼を育てた母は、牛を一頭持つことをずっと願い、ついに持てなかった。彼は牧場を建て、母の名で呼んだ。そうして生まれたのが、この不思議な混成の場所だ。動物がいる——牧羊犬が羊の群れを動かす定時のショー、乳しぼりのできる牛、アルパカ、カピバラ、乗馬。それに加えて季節ごとの味覚狩りがあり、早春の菜の花から夏のペチュニア、秋のコスモスへと植え替わる大きな花畑があり、観覧車と乗り物のあるコンパクトな遊園地まである。農業博物館ではなく、家族の一日のための場所だと最初から割り切っている。そして、みんなが歩く距離を甘く見積もるくらいには広い。
なぜ穴場のままか
この場所は、はっきりした問いに答えている——東京圏で丸一日、子ども連れで(あるいは連れずに)どう過ごすか。他の選択肢がまた屋内施設になってしまうときの答えだ。ここは本当に田舎で、本当に広く、触れる動物がいて、湾まで視界が抜ける。どれも都内にはない。そして行き帰りも旅程の一部になる。房総の海沿いを下る列車か、湾を渡るフェリーか——どちらを選んでも、単なる移動より上等な時間になる。
歴史・背景
開場は1960年代初頭。創設者は新聞経営者の前田久吉で、東京タワーの建設を手がけた人物でもある。牧場の名は彼の母に由来する。苦しい暮らしの中で彼を育て、牛を一頭持つことを長く願っていた母だった。鹿野山を選んだことで、牧場は東京から届く距離の高台に置かれることになり、日本で最初期の大規模な観光牧場となった。以後、この形式は各地で真似されたが、この規模のものは今も多くない。
見どころ(歩く順)

- 牧羊犬とヒツジのショー
- メインの放牧地で1日数回。犬が広い地面の上で群れを動かしていく。この日の予定はここを軸に組むといい。時刻はゲートに掲示されている。早めに行って柵際の位置を確保する価値が、確かにあるショーだ。
- 花畑
- 斜面いっぱいに植えられた花が、季節で入れ替わる——早春の菜の花、夏のペチュニア、秋のコスモス。行く前に何が見頃かを調べておきたい。写真がよくなるか平凡になるかはここで決まるし、入れ替わりは思ったより早い。
- 乳しぼり・餌やり・アルパカ
- 体験プログラムは時刻が決まっている。牛の乳しぼり、子羊のミルクやり、アルパカやカピバラへの餌やり。週末はすぐ埋まるので、昼を食べてからではなく、着いてすぐ申し込むこと。
- 東京湾を見下ろす眺め
- 敷地の高い側では、土地が湾に向かって落ちていく。晴れていれば対岸に三浦半島。この牧場がこの場所にある理由そのものであり、観覧車に追加料金を払う価値がある理由でもある。
おすすめの楽しみ方
ここは「どこかへ行く途中に寄る場所」ではなく、一日を使う場所だ。敷地は広く、大半が斜面で、歩く距離はあっという間に積み上がる。定時のイベントを2〜3本(まず牧羊犬のショー)押さえ、その間を残りで埋めるように組み立てるとうまくいく。歩きやすい靴で、雨のあとはぬかるみを覚悟すること。花畑と気温の両方を考えると、春と秋が最良。真夏の遮るもののない台地は、小さな子ども連れにはかなりこたえる。この旅程の弱点はバスの接続に尽きる。便数が少なく、特定の列車に合わせて組まれていて、一本逃すと1時間以上の損になる。神奈川から向かうなら、東京湾フェリー経由は時刻表の上では遅いが、鉄道より圧倒的に楽しい。
実際の行き方
- 東京駅→佐貫町駅(JR京葉線・内房線、蘇我経由・約90分)。
- 佐貫町駅→マザー牧場(バス・約25〜30分/1日数便のみ)。
- 別ルート:久里浜→金谷(東京湾フェリー・約40分)→バスまたはタクシーで牧場へ。
- JR内房線で佐貫町へ、バスに乗換
- 東京駅→(JR京葉線・内房線、蘇我経由・約90分)→佐貫町駅→(マザー牧場方面バス・約25〜30分)→マザー牧場 山道ゲート。計およそ2時間。バスは1日数便しかなく、特定の列車に接続する形で組まれている。接続を当てにせず、出発前に公式サイト(motherfarm.co.jp)で当日の時刻を確認すること。
- 帰りはバスで佐貫町駅へ
- バスで佐貫町駅まで下り、内房線で蘇我・東京方面へ。バスは本数が少なく、最終便は閉場からさほど間を置かずに出てしまう。着いたらまず時刻を控えること。内房線も夕方以降は本数が減る。
行く前に
- 現金
- 入場料が必要で、乗り物・味覚狩り・体験の一部は別料金。正面ゲートと主要な売店はカード・IC決済に対応、小さな売店は現金のみのことがある。一日いるなら、入場と乗り物をまとめたセット券のほうが得になる。
- 定休
- ほぼ通年営業だが、営業時間は季節で変わり、冬季は平日休業日が入ることもある。アトラクションや味覚狩りには明確な季節がある。天候が悪いと屋外のショーは中止になるので、行く日の朝に公式サイトを確認するとよい。
- 別ルート
- 神奈川からなら、久里浜から東京湾フェリーで金谷へ渡り、そこからバスかタクシーという行き方がある。所要は長いが、湾そのものを渡っていくぶん景色は段違いだ。君津駅発のバス路線もある。
- 降りたあと
- 佐貫町駅は内房線の小さな駅で、時間帯によっては無人になる。マザー牧場行きのバスは駅前の停留所から出る。牧場には山道ゲートとまきばゲートの二つがあり、経路によって着く側が違う。自分の乗るバスがどちらに着くかを確認しておくこと。