大阪・中之島No.389★★地図で見る →

大阪市中央公会堂

history穴場——実はすごい

大阪・中之島に建つ1918年竣工の赤煉瓦のネオ・ルネッサンス様式公会堂。一人の寄付で建てられた国の重要文化財で、現役の会場でもある。

大阪市中央公会堂
実写(ライセンス済み)Kakidai / CC BY-SA 4.0

中之島は大阪のまんなかを東西に延びる細長い中州で、堂島川と土佐堀川に挟まれている。その上に、まるで別の都市の一片のように中央公会堂が建っている。白い石で帯を入れた赤煉瓦、銅板の丸屋根、アーチ窓——見紛いようもなくヨーロッパで、見紛いようもなく20世紀初頭だ。ただし博物館ではない。ここは稼働している会場で、演奏会も講演も式典も市民行事も絶え間なく入る。だからこの建物は「保存されている」というより「使われている」感触がある。地下1階には誰でも無料で入れる展示室があり、図面、建設当時の資料、そして建設費を出した男の話が並ぶ。上階の特別室——かつての貴賓室で、天井には日本の創世神話が描かれている——には、短いガイドツアーでしか入れない。外観は水を挟んで見るのがいちばんいい。土佐堀川の北岸か、なにわ橋の上から。とりわけ日が落ちてライトアップされてからが。

なぜ穴場のままか

大阪を訪れる人の多くは中之島に一度も足を踏み入れないまま帰る。しかもこの建物は見るだけなら無料だ。ガイドブックに届かないのは背景のほうで、建設費の全額を出した株式仲買人は、開館の2年前に財産と命を失っている。その話は、ほとんど誰も入らない地下の無料展示室できちんと語られている。

歴史・背景

1911年(明治44年)、財を成した大阪の株式仲買人・岩本栄之助が、公会堂の建設費として100万円——当時としては莫大な額——を市に寄付した。渡米の際、富裕な市民が公共施設を出資で支える文化に打たれたのが動機とされる。設計競技は当代随一の建築家・辰野金吾の監修で行われ、一等に選ばれたのは当時29歳の岡田信一郎だった。実施設計は辰野金吾と片岡安が担った。一方の岩本は相場で大きな損失を出し、1916年に自ら命を絶つ。自分が金を出した建物の完成(1918年)を、2年見ずに終わったことになる。建物は戦災を生き延び、1999年から2002年にかけて保存・再生工事が行われ、2002年12月、公会堂建築として西日本で初めて国の重要文化財に指定された。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Daniel Lu (User:dllu) / CC BY-SA 4.0
水越しの外観
白石で帯を入れた赤煉瓦と銅板の丸屋根。土佐堀川の北岸、またはなにわ橋の上からの眺めが正解
地下の無料展示室
チケットなしで誰でも入れる。建設当時の図面と資料、そして寄付者・岩本栄之助の生涯が展示されている
特別室
かつての貴賓室。天井に日本神話の場面が描かれている。有料のガイドツアーでのみ入室できる
島そのもの
中之島図書館(こちらも重要文化財)、東洋陶磁美術館、ばら園がいずれも平坦な徒歩10分圏内に並ぶ

おすすめの楽しみ方

夕方以降に行くこと。日が落ちると建物はライトアップされ、土佐堀川に映る姿がこの建物の写真がこれほど多い理由だ。淀屋橋となにわ橋のあいだの北岸を歩けば10分で、オフィスが引けたあとは静かになる。日中なら、地下の無料展示室に20分使う価値がある。岩本栄之助の話がきちんと展示されている。特別室を見たいならガイドツアーを事前に予約すること。短く、有料で、当日枠は当てにならない。そのあとは歩き続けるといい。中之島は平坦で切れ目がなく、どちらへ向かっても図書館・陶磁美術館・ばら園が同じ島の上に並んでいる。

実際の行き方

起点
大阪・梅田駅
所要
約10分 · 地下鉄/京阪
降車
なにわ橋駅(京阪中之島線)
  1. 梅田→淀屋橋(御堂筋線・1駅)、または京阪中之島線でなにわ橋。
  2. 中之島へ。公会堂は島の北側、淀屋橋から徒歩約5分。
  3. 無料の地下展示室を見て、土佐堀川を挟んで外観を眺める——日没後のライトアップが最良。
梅田→淀屋橋またはなにわ橋
梅田 →(Osaka Metro御堂筋線・1駅・約3分)→ 淀屋橋駅 → 土佐堀川を北へ渡って島を東へ徒歩約5分。京阪中之島線でなにわ橋駅まで行けば、出口が公会堂のすぐ脇に上がる。梅田から合計およそ10分。
島を西へ歩く、または淀屋橋へ戻る
淀屋橋へ戻れば御堂筋線。あるいは中之島を西へ、東洋陶磁美術館とばら園を抜けて渡辺橋まで歩き、京阪中之島線に乗る。島は平坦で連続していて、端から端まで歩いて気持ちがいい。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
外観と地下1階の展示室は無料。特別室と大集会室を見るガイドツアーは有料で所要約30分、原則として公式サイトからの事前予約制——当日ふらりと入れるものではない。館内の催しは主催者ごとの別チケット。館内のレストラン・カフェはカード可。
定休
休館は毎月第4火曜と年末年始。現役の会場であるため、館内に入れるかどうかはその日の予約状況次第で、大集会室は使用中で見られないことが多い。内部を見ることが目的なら、出かける前に公式サイトで確認すること。
別ルート
京阪中之島線のなにわ橋駅なら建物の真下に着く。大阪駅から御堂筋を南へ、そこから島へ東進する徒歩も約20分で、途中に日本銀行大阪支店(同じ辰野の時代の名建築)がある。
降りたあと
なにわ橋駅の出口は公会堂の脇に上がる。淀屋橋からなら川を北へ渡り、水辺を東へ徒歩約5分。

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