東京・上野No.400★★★地図で見る →
国立西洋美術館
上野恩賜公園にある日本で唯一の国立西洋美術専門館。ル・コルビュジエ設計の本館は2016年に世界文化遺産へ登録された。モネやロダンを含む所蔵は6千点を超える。

この美術館は、ある条件を満たすために建てられた。実業家・松方幸次郎は20世紀初頭にヨーロッパ美術を大量に収集した。そのうちフランスに置かれていた分は第二次世界大戦中にフランス政府へ敵国資産として接収され、返還交渉がまとまるとき、フランスは条件をつけた——収蔵するにふさわしい美術館を日本が建てること。その結果として1959年、上野恩賜公園に開館したのがこの建物だ。設計はル・コルビュジエ、実施設計は彼のパリのアトリエで学んだ日本人建築家たちが担った。建物は彼の「無限成長美術館」の構想に従っており、四角い螺旋が原理的には外へどこまでも増築できる形をしている。吹き抜けのホールから上へ導くスロープが、その思想の最も分かりやすい現れだ。2016年、七か国十七件のル・コルビュジエ作品群の一つとして世界文化遺産に登録された——つまりここは東京で唯一の世界遺産であり、日本が加わっている唯一の国境をまたぐ世界遺産でもある。館内の収蔵は古典絵画から20世紀初頭まで、とりわけフランス絵画に厚く、モネはまとまった数がある。前庭にはロダンの「地獄の門」「考える人」などのブロンズが立っていて、こちらはチケットなしで見られる。
歴史・背景
川崎造船所の社長だった松方幸次郎は、1910年代から20年代にかけて大規模にヨーロッパ美術を買い集めた。このうちフランスに保管されていた分は戦時中に敵国資産として接収される。1951年のサンフランシスコ講和とその後の交渉を経て、フランスは大部分の返還に同意したが、条件として専用の美術館を建てることを求めた。1955年にル・コルビュジエが設計を委嘱され、1959年に開館。実施設計は坂倉準三・前川國男・吉阪隆正が担当した——いずれも彼のアトリエ出身である。2016年のユネスコ登録は、七か国十七件のル・コルビュジエ作品を一つの資産としてまとめたものだった。
見どころ(歩く順)
- 前庭のロダン
- 「地獄の門」「考える人」「カレーの市民」が入口の外に立つ。チケットを買わずに見られる
- 19世紀ホールとスロープ
- 上から光の落ちる吹き抜けの導入空間と、螺旋の構想を体現するスロープ。ここでは建築そのものが展示物だ
- 松方コレクション
- 美術館の核をなすフランス絵画群。まとまった数のモネを含み、返還の合意があったからこそここにある
- ピロティと外観
- 柱で持ち上げられた打ち放しコンクリートの箱。世界遺産に登録されたのは中の収蔵品ではなく、この建物である
おすすめの楽しみ方
絵と同じくらい建物を読むこと。ル・コルビュジエの設計であること、螺旋が外へ成長するよう構想されたことを知っていると、スロープと天井光のホールが何をしているのかが変わって見える。常設展は安く、特別展は別料金で高い。どちらが目的かを決めてから行くとよい。国立科学博物館・東京国立博物館とは上野公園の同じ動線上に数分で並ぶが、一日で三つは無理をしない方がいい。休館は月曜で、祝日の場合は翌平日。20分しかないなら、前庭のロダンだけでも無料で見られる。
実際の行き方
- 東京駅→上野駅(JR山手線・京浜東北線・約8分)。
- 上野駅公園口→上野恩賜公園→美術館前庭(徒歩・約2分)。
- 前庭のロダン→19世紀ホールとスロープ→松方コレクションの展示室へ。
- 東京駅→上野駅(JR)→公園口から徒歩
- 東京駅からJR山手線または京浜東北線で上野駅まで約8分。公園口を出て徒歩約2分——上野公園の美術館・博物館群の中で駅から最も近く、公園に入ってすぐ右手に建っている。
- 上野駅→東京駅
- 公園口へ戻ってJR山手線または京浜東北線に乗る。数分間隔で夜遅くまで運行しており、上野は新幹線の停車駅でもある。
行く前に
- 現金
- 常設展は安く、特別展は別料金で高い。高校生以下と65歳以上は常設展が無料なので、該当するなら証明できるものを持参のこと。ICカードは鉄道と多くの券売機で使える。前庭のロダンは誰でも無料。
- 定休
- 休館日は月曜(月曜が祝日の場合は翌平日)と年末年始。最終入館は閉館の30分前。特別展は日時指定予約が要る場合がある。撮影の可否は常設展と特別展で異なる。
- 別ルート
- 新宿・渋谷からはJR山手線で上野まで約25〜30分。東京メトロ銀座線・日比谷線も上野に停まり、京成上野駅は成田空港につながる。
- 降りたあと
- 上野駅の公園口から上野恩賜公園へ入り、最初の建物が右手に見える。徒歩約2分で、道からロダンのブロンズが見えている。