京都北西・奥嵯峨No.010★地図で見る →
愛宕念仏寺
愛宕山の麓に建つ小さな寺。苔むす境内の斜面を、素人の手で一体ずつ彫られた約千二百体の石の羅漢が埋めつくす。

愛宕念仏寺は、京都北西の山あい・奥嵯峨の道の最奥に建つ。境内の斜面には、釈迦の弟子を表す約千二百体の小さな石の羅漢が並ぶ。1981年から1991年にかけて、専門の仏師ではなく一般の人々が住職の指導で彫り方を学びながら制作したものだ。彫った手が一体ずつ違うため表情は豊かで、静かに祈るもの、笑いかけるもの、趣味をうかがわせる持ち物を手にするものもある。数十年の雨と苔が石を馴染ませ、四十年ほどの像がずっと古く見える。
なぜ穴場のままか
嵐山の谷のいちばん奥、主要な観光地を過ぎた先にあるため、日帰り客も観光バスもほとんど来ない。羅漢は古典の名宝ではなく1980年代の市民アートで、ガイドブックの扱いも小さく、英語の情報も少ない。
歴史・背景
寺の草創は766年とされ、称徳天皇の勅願により祇園に近い東山(京都東部)に建立されたと伝わる。その後、鴨川の氾濫で失われ、平安時代(794〜1185年)に再興された。現在の本堂と山門は、保存のため1922年に嵯峨の山あいの現在地へ移築されたものだ。羅漢は、1955年に住職に就いた仏師・西村公朝(1915〜2003)が復興の中で始めた事業。参拝者に自らの羅漢を彫ることを勧め、石の中に隠れた一人ひとりの姿を引き出すよう導いた。
見どころ(歩く順)

- 移築された本堂と山門
- 1922年に東山の旧地から現在地へ移された本堂と山門
- 羅漢の斜面
- 苔むす斜面を埋める約千二百体の石の羅漢。一体ずつ違う手で彫られている
- 多彩な表情
- 静かに祈る像から笑う像まで。テニスラケットやカセットプレーヤー、二体で酒を酌み交わすものもある
- 苔と風化
- 1980年代に彫られた像を、雨と苔が実際よりずっと古く見せている
おすすめの楽しみ方
奥嵯峨の道の最奥にある寺なので、すぐ下にある古い町並み「嵯峨鳥居本」と合わせて歩くのが自然な流れだ。像の群れを足早に通り過ぎず、一体ずつの顔や持ち物をじっくり見つけるのがいちばんの楽しみ方。
実際の行き方
- 京都駅→嵯峨嵐山駅(JR嵯峨野線・約15分)
- 嵯峨嵐山駅→野々宮バス停(徒歩・約10分)
- 野々宮→愛宕寺前(清滝行き京都バス94系統・約25分)
- 愛宕寺前バス停→山門(坂を上る徒歩・約2分)
- JR電車+京都バス
- 京都駅→(JR嵯峨野線・約15分)→嵯峨嵐山駅。そこから野々宮バス停まで約10分歩き、清滝行きの京都バス94系統に乗り→(約25分)→愛宕寺前で下車、目の前が山門。計 約55〜70分。94系統は1日数本のみ(おおむね昼前〜午後)——出発前に当日の時刻表を確認。
- 帰りは同じ道
- 京都バス94系統で嵐山方面へ戻り、JR嵯峨野線で京都へ。清滝行きのバスは午後で終わるので、着いたら愛宕寺前のバス停で帰りの時刻を確認しておく。乗り逃したら嵯峨嵐山駅までタクシーで約5分。
行く前に
- 現金
- 拝観料は少額・現金のみ。田舎のバスも現金のみのことが多いので、小銭と小額紙幣を用意しておく。
- 定休
- 石像はもろい。登ったり寄りかかったりせず、眺めるだけにする。
- 別ルート
- 同じ道の少し下、古い町並み「嵯峨鳥居本」と併せて歩ける。
- 降りたあと
- 愛宕寺前のバス停から坂を約2分上ると山門。