栃木・奥日光No.358★★地図で見る →

戦場ヶ原

〜木道で横切る広大な湿原〜

nature穴場——実はすごい

標高約1,400メートルの奥日光に広がる約400ヘクタールの高層湿原。中央を木道が貫いているため歩行はほぼ平坦で、うち175ヘクタールはラムサール条約の登録湿地。

戦場ヶ原
実写(ライセンス済み)Guilhem Vellut from Annecy, France / CC BY 2.0

いま歩いている足元は、かつて湖だった。男体山の噴火がこの谷をせき止め、せき止められた水が溜まり、長い時間をかけて土砂と泥炭で埋まって湿原になった——標高およそ1,400メートル、面積約400ヘクタールの高層湿原である。約350種の植物が生育し、東日本でも名の知れた野鳥の観察地でもある。季節で色が大きく変わる場所で、6月から8月初旬にかけてはワタスゲやホザキシモツケが咲き、9月下旬から10月上旬には草が枯れて平原全体が赤錆色に染まる。「戦場ヶ原」という名は戦の跡ではなく神話に由来し、男体山の神と赤城山の神が中禅寺湖を巡ってここで戦ったと伝わる。泥炭層は踏めば壊れるため、人はそこに立ち入らない——自然研究路は一段高い木道として湿原を渡っていく。歩きが平坦で、誰でも歩けるのはそのためだ。

なぜ穴場のままか

日光を訪ねる人の多くは東照宮と華厳の滝で引き返す。戦場ヶ原は同じバス路線をもう少し先まで行くだけなのに、そこはまったく別の国だ。社殿も朱塗りも屋根もなく、あるのは開けた空と亜高山の草原、そして稜線に立つ男体山だけ。要はこの木道で、ラムサール登録の湿原を、スニーカーのまま2時間ほどで渡れてしまう。湿原についてそう書ける場所はそう多くない。

歴史・背景

戦場ヶ原は火山が生んだ地形だ。男体山の噴火がこの谷をせき止め、溜まった水が湖をつくり、その湖が土砂と泥炭で埋まって高層湿原になった。「戦場ヶ原」の名は、男体山の神と赤城山の神が中禅寺湖の領有を巡ってこの地で戦ったという伝説に由来すると地元では説明されている。現在は「奥日光の湿原」として175ヘクタールが、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地=ラムサール条約登録湿地となっており、木道は人の足を泥炭から遠ざけるために敷かれている。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Miguel Vieira from Walnut Creek, CA, USA / CC BY 2.0
湿原を貫く木道
泥炭の上に一段高く架けられた自然研究路の板道。全区間ほぼ平坦で、この湿原が歩けるものになっている理由そのもの
ワタスゲとホザキシモツケ
6月中旬から8月初旬、湿原が最も花に覆われる時期。9月下旬〜10月上旬は逆に草が赤錆色に染まる
男体山の眺め
三本松バス停あたりから、開けた平原の先にこの湿原をつくった火山が立つ
湯滝と竜頭の滝
高原の両端にある滝。どちらも同じバス路線上にあり、横断を一日の行程にまとめてくれる

おすすめの楽しみ方

往復ではなく片道で歩くのがいい。上流側の湯滝から入って赤沼で終える(またはその逆)、帰りはバス。木道の平坦な道でおよそ2時間、同じ景色の繰り返しにならない。可能なら朝早く——鳥が動き、平原に霧が残り、観光バスが奥日光に着く前の湿原は本当に静かだ。歩き出す前にバス停で帰りの時刻を確認し、東京の予報がどうであれ風を防げる一枚は持っていくこと。

実際の行き方

起点
浅草駅(東京)
所要
約3時間30分 · 電車+バス(バス約70分)
降車
赤沼 バス停
  1. 浅草駅(東京)→ 東武日光駅(東武日光線特急・約2時間・直通)。
  2. 東武日光駅 → 赤沼バス停(東武バス 湯元温泉行き・約65〜70分・いろは坂と中禅寺湖を経由)。
  3. 赤沼 → 駐車場の裏手から始まる木道へ。
  4. 自然研究路で湿原を横断(約2時間)し、三本松・竜頭の滝・湯滝のいずれかで同じ路線のバスを拾って戻る。
東武特急+東武バス
浅草駅(東京)→(東武日光線特急・約2時間・直通)→東武日光駅→(東武バス 湯元温泉行き・約65〜70分)→赤沼バス停。木道はここから始まる。片道 計 約3時間30分。バスはいろは坂を登り、中禅寺湖の先まで走るので、紅葉シーズンは所要時間に余裕をみておくこと。
歩き終えた場所からバスで下る
湯元温泉行きのバス路線は高原を縦に貫いているので、片道だけ歩いて赤沼・三本松・竜頭の滝・湯滝のいずれからでも帰りのバスに乗れる。往路を戻る必要はない。日光方面へ下るバスは夕方になると本数が減り、ここは取り残されていい場所ではない——歩き出す前に、バス停に掲示された帰りの時刻を必ず確認しておく。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
湿原は国立公園の中にあり、ゲートも入場券もない——木道を歩くのは無料。かかるのは電車代とバス代だけで、どちらも東武の日光エリアのフリーパスでカバーできる。それでも現金は持っていきたい。中禅寺湖より上の売店・トイレ・休憩所は規模が小さく、カードが使えるとは限らない。
定休
年中無休で閉場時刻もないが、ここは亜高山の高原だ。12月頃から4月頃までは雪が深く、木道はスノーシューで歩くことになる。奥日光にはクマが生息しており、道標も鈴の携行を呼びかけている。真夏でも朝の空気は日光市街とは比べものにならないほど冷えるので、一枚羽織るものを。
別ルート
JR利用なら、東京駅→(東北新幹線・約50分)→宇都宮→(JR日光線・約45分)→JR日光駅、そこから同じ湯元温泉行きのバス。車の場合は中禅寺湖から国道120号を約40分。
降りたあと
赤沼は登山口にあたるバス停で、駐車場と自然情報センター、トイレがあり、その裏手から木道が始まる。ひとつ先の三本松は展望のバス停——平原越しに男体山を望む開けた眺めはこちらから。

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