東京・品川No.312★★地図で見る →
戸越銀座
〜東京いちばん長い商店街〜
品川区を東西に約1.3km、約四百軒が続く生活の商店街。東京で最も長く、「◯◯銀座」を最初に名乗った通り。

戸越銀座は品川区を東西に約1.3km貫き、その真ん中を同じ名前の東急池上線の小さな駅が横切る。並ぶ店は約四百軒。八百屋、鮮魚店、豆腐屋、注文を受けてから揚げる肉屋のコロッケ、おでんの立ち食い、焙煎所、古本屋——そして「一つのものだけを、うまく売る」店がやたらに多い。三つの商店街組合が区間を分けて運営しているので、東へ歩くほど日除けや街灯の顔つきが変わっていく。屋根はなく、道は狭く、生活の車がゆっくり通る。観光客向けにしつらえられたものが何もない。それがこの通りの中身で、いちばん混むのは昼ではなく、夕飯前の一時間だ。
なぜ穴場のままか
名所ではなく生活の商店街なので、英語のガイドにはほとんど載らない。行くには短いローカル線に乗る必要があり、たいていの旅行者はその電車に一度も乗らない。撮るべきランドマークも一軒の有名店もなく、面白さは「小さな個人店がここまで密に残っている」という一点にある——これはガイドブックの一項目にはならない。
歴史・背景
名前の由来は1923年の関東大震災にある。中心部の銀座は煉瓦造りの建物と舗道の大半を失い、その瓦礫は不要になって譲り渡された。戸越はその煉瓦を引き取り、いつも泥だらけだった自分たちの道の排水と舗装に使った。銀座の賑わいもいっしょに来てくれればと、土地の名「戸越」に「銀座」をつないで戸越銀座と名乗る。日本で最初の「◯◯銀座」であり、以後この名乗りは全国で三百以上に広がった。
見どころ(歩く順)

- コロッケの立ち食い
- 注文を受けてから揚げる肉屋と惣菜店。この通りを代表する「買ってその場で食べる」一品
- 三つの商店街がひと続き
- 三つの組合が区間ごとに運営し、日除けも街灯も区間ごとに顔つきが違う
- 池上線
- 地上を走る三両編成のローカル線。小さな駅と踏切が、店並みのちょうど真ん中にある
- 1923年の煉瓦
- 銀座の震災瓦礫がこの道を舗装し、代わりに通りは銀座の名を受け取った
おすすめの楽しみ方
16時ごろに着くと、この通りは本来の姿になる。近所の人が晩ごはんを買いに出てきて、揚げ油が動き出し、立ち食いのカウンターがいちばん埋まる時間だ。駅の周りだけで満足せず、1.3kmを端まで歩いてほしい——三つの組合をまたぐたびに空気が変わる。腰を据えて一食にせず、少しずつ何軒も。食べるときは店のカウンターか、道の脇へ一歩よけて。
実際の行き方
- 品川駅→五反田駅(JR山手線・1駅・約4分)
- 五反田駅→戸越銀座駅(東急池上線・3駅・約5分)
- 駅を起点に東西へ歩く(端から端まで約1.3km)
- 山手線で五反田、東急池上線に乗り換え
- 品川駅→(JR山手線・渋谷方面・1駅・約4分)→五反田駅→(東急池上線・蒲田方面・3駅・約5分)→戸越銀座駅。乗換込みで計 約15分。どちらも終日数分間隔なので事前の計画は不要。浅草や羽田からなら、都営浅草線の戸越駅が通りの中ほどまで徒歩約5分。
- 同じ経路を逆に
- 池上線で五反田へ戻り、山手線へ。どちらも深夜まで走るので夕方からでも問題ない——先に閉まるのは電車ではなく店のほう。
行く前に
- 現金
- この通りの小さな店は現金が基本。コロッケやおでんの店は小銭だけ、古い八百屋にはそもそも読み取り機がない。小額紙幣を持って。
- 定休
- この商店街は「歩きながら食べない」を呼びかけている。買ったら脇へ寄るか店のカウンターで食べ、包み紙はその店のごみ箱へ。生活道路で車も通るので、片側に寄り、写真のために店先をふさがないこと。
- 別ルート
- 不定休の店もあるが、三つの組合が区間を分けているので、少し先まで歩けばたいてい開いている一角に出る。
- 降りたあと
- 戸越銀座駅は通りのちょうど真ん中。踏切から東西それぞれ約650mにわたって店が続く。