神奈川・湯河原No.313★★地図で見る →

湯河原温泉

onsen穴場——実はすごい

神奈川の西端、川筋の谷に開けた小さな弱アルカリ性の温泉町。東京から約1時間半、熱海の一つ手前。

湯河原温泉
実写(ライセンス済み)Quercus acuta / CC BY-SA 4.0

湯河原は神奈川の南西の端、千歳川と藤木川が山から海へ切れ下がるあたりにある。宿は町の上手、谷沿いの道に並ぶ。湯は柔らかい弱アルカリ性で、地元の言い方を借りれば「何度でも入れる」湯だ。記録の古さでも東日本屈指で、8世紀に編まれた日本最古の歌集『万葉集』の一首がこの谷の湯を詠んだものと読まれており、関東で万葉集に詠まれた温泉はここだけとされる。明治以降、文人たちが仕事をしにこの谷へ通った。夏目漱石、島崎藤村、芥川龍之介、谷崎潤一郎、与謝野晶子。漱石は1916年に滞在し、その年の暮れに絶筆となる『明暗』をここで書き継いでいる。

なぜ穴場のままか

東京からの電車は湯河原を素通りして熱海へ、そして箱根へ向かう。外国人が読む英語の温泉リストにもほとんど載らない。町は小さく、生活の匂いがして、派手な見どころがない——湖もロープウェイも噴煙の谷もない。だから日帰り客は、もう一駅先まで行ってしまう。

歴史・背景

湯河原が東日本でも古い湯に数えられるのは、一首の歌による。8世紀に編まれた『万葉集』にこの谷の湯を詠んだと読まれる歌があり、関東で万葉集に詠まれた温泉はここだけとされる。町はリゾートとしてではなく、静かな文人の仕事場として育った。夏目漱石は1916年に滞在し、その年の暮れに未完のまま遺す『明暗』をここで書き継いだ。島崎藤村、芥川龍之介、谷崎潤一郎、与謝野晶子もこの谷に逗留し、書いている。その歌と文学の縁を軸に整えられたのが万葉公園で、国木田独歩にちなむ野天の足湯「独歩の湯」があり、2021年には川沿いに湯と本の滞在施設「湯河原惣湯」が加わった。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Tighten up! from Tokyo, Japan / CC BY 2.0
万葉公園
町の上手、川沿いに広がる公園。この谷の歌と文学の歴史を軸に整えられている
足湯「独歩の湯」
公園内の野天の足湯。作家・国木田独歩にちなむ名で、予約は要らない
湯河原惣湯
2021年に公園内へ開いた、川沿いの湯と読書の滞在施設
文豪たちの宿
漱石、藤村、芥川、谷崎、与謝野晶子がこの谷で書いた。今も客を取る宿がいくつか残る

おすすめの楽しみ方

まず落合橋まで上がり、明るいうちに谷沿いの道を万葉公園まで歩く。湯に入るのは午後遅く——箱根へ向かう日帰りの流れが通り過ぎたあとがいい。何度でも入れる湯質なので、ひと風呂、散歩、もうひと風呂、という地元の間合いが合う。宿の日帰り料金にタオルが含まれないことも多いので、小さいものを一枚持っていくこと。

実際の行き方

起点
東京駅
所要
約1時間50分 · 電車(本数多め)+短いバス
降車
落合橋バス停(湯河原駅から)
  1. 東京駅→湯河原駅(JR東海道線・直通・約1時間40分/特急踊り子なら約1時間20分)
  2. 湯河原駅→落合橋バス停(箱根登山バス・奥湯河原方面・約10分)
  3. 落合橋→万葉公園と宿の一帯(徒歩・上り・数分)
JR東海道線で湯河原、そこから短いバス
東京駅→(JR東海道線・熱海方面・直通・約1時間40分)→湯河原駅→(箱根登山バス・奥湯河原方面・約10分)→落合橋バス停。宿が集まる一帯の入口。特急踊り子なら電車部分が約1時間20分に縮む。普通列車は1時間に数本、日中のバスは15〜20分間隔ほど。
同じ経路を逆に
湯河原駅へ下るバスは夜まであるが、暗くなると本数が落ちる。遅い時間に湯に入るなら、着いたときに落合橋の帰りの時刻を確認しておくこと。東京方面の東海道線は遅くまで走っている。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
宿の日帰り入浴はフロントで現金払いが基本で、料金は宿ごとに違う。小さな宿やバスはカードが使えないので、紙幣と小銭を持って。
定休
日帰り客を受け入れるのは午後の決まった時間帯だけという宿が多く、満室の日は日帰り入浴を止める宿もある。事前に電話をするか、バスに乗る前に湯河原駅の観光案内で聞くのが確実。
別ルート
宿が満杯でも、万葉公園の足湯と近くの町営の公衆浴場なら予約なしで入れる。
降りたあと
落合橋は二つの川が合わさるところ。宿が並ぶ一帯の入口で、万葉公園はそこから坂を数分上がった先。

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