和歌山・熊野・湯の峰No.345★★地図で見る →

湯の峰温泉つぼ湯

onsen穴場——実はすごい

熊野本宮大社の背後の山あいにある湯の峰温泉。川床の岩をくり抜いた小さな湯船を木の小屋が覆う「つぼ湯」は、熊野の世界遺産登録範囲に含まれながら今も日々使われている。

湯の峰温泉つぼ湯
実写(ライセンス済み)Miya.m / CC BY-SA 3.0

湯の峰は、熊野本宮大社の背後の細い谷にある数十軒ほどの集落で、その真ん中を熱い川が流れ下っている。熊野古道を歩いてきた参詣者は、大社に詣でる前にここで湯垢離——湯による身の清め——を行ってきた。つぼ湯はその場だ。川床の自然の岩をくり抜いた湯船に小さな木の小屋がかぶさり、板の橋を渡って入る。定員は詰めて二人。2004年に熊野の参詣道が世界遺産に登録された際、つぼ湯はその登録範囲の中に含まれた。そして今も現役の浴場であるため、世界で唯一「入れる世界遺産」となった。利用は交替制。路地を挟んだ公衆浴場の受付で番号札を受け取り、順番が来たら約30分間、小屋を独り占めできる。湯は一日に七度色を変えると言われる。

なぜ穴場のままか

熊野を訪れる人の多くは三大社を巡って先へ進む。湯の峰まで足を延ばすと、ただでさえ長い旅程に一泊が加わるからだ。そのふるいがあるおかげで、この湯は観光地ではなく巡礼の一部のまま残っている。順番を待つ列に、古道を歩いてきたばかりの人が並んでいる。

歴史・背景

湯の峰は日本最古級の温泉集落の一つとして紹介され、熊野詣における役割は幾世紀にもわたって記録されてきた。熊野古道を歩いてきた参詣者は、本宮大社への最後の道行きの前にここで湯垢離を行った。つぼ湯はまた、この湯によって蘇生したと伝わる小栗判官の伝説と結びついており、中世の芸能に語り継がれて今も集落の由緒の一部になっている。2004年、「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコ世界遺産に登録され、この湯もその範囲の中に入った。

見どころ(歩く順)

実写(ライセンス済み)Nekosuki / CC BY-SA 4.0
つぼ湯
川床の自然の岩をくり抜いた二人分の湯船。小さな木の小屋がかぶさり、交替制で使う
公衆浴場
路地沿いの村の浴場。ここで番号札を受け取り、つぼ湯に入る前に体を洗う
湯筒(ゆづつ)
川べりの高温の湧出口。売店で買った網に卵や野菜を入れて茹でられる
集落と川
細い谷に数十軒。路地の真ん中を流れる川から湯けむりが立ちのぼる

おすすめの楽しみ方

日帰りではなく一泊で組むこと。バスが長く、最終便も早い。集落の小さな旅館に泊まれば、湯けむりが谷にたまる早朝の、最も静かな時間帯につぼ湯の枠を取れる。順番を待つあいだ、売店で卵の網を買って湯筒で茹でるのが、ここでの過ごし方の定番だ。バスで15分ほどの熊野本宮大社と、川原を掘って自分の湯を作る川湯温泉を合わせるとちょうど良い。熊野古道を歩くなら、中辺路の一日の終着として湯の峰は自然に収まる。

実際の行き方

起点
新大阪
所要
約2分 · 特急+バス少なめ
降車
湯の峰温泉バス停(紀伊田辺から龍神バス)
  1. 新大阪→紀伊田辺駅(JR特急くろしお・約2時間)。
  2. 紀伊田辺駅→湯の峰温泉バス停(龍神バス中辺路線・約1時間50分・1日数便)。
  3. 公衆浴場の受付で番号札を受け取り、順番が来たら川床の小屋へ(約30分の入替制)。
新大阪から紀伊田辺経由で湯の峰温泉へ(特急+バス)
新大阪からJR紀勢本線の特急くろしおで紀伊田辺駅まで約2時間。駅前から龍神バスの中辺路線・本宮大社前方面に乗り、湯の峰温泉バス停まで約1時間50分。バスは1日数便程度と少ないので、日程を決める前に時刻表を確認すること。片道で計約4時間かかるため、日帰りではなく一泊の旅として組むのが現実的。
帰りもバスで紀伊田辺へ、特急くろしおで大阪方面へ
龍神バスで中辺路線を紀伊田辺まで戻り、特急くろしおで新大阪へ。湯の峰発の便は少なく、最終も想像より早い。到着したらすぐバス停で復路の時刻を確認しておくこと。海側の新宮駅からは熊野交通バスで出る経路もあり、名古屋方面へ抜けるならこちらが便利。
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行く前に

現金
入浴料は公衆浴場の受付で現金払い。カード決済はなく、集落にATMもない。入浴・食事・宿泊分の現金を持って行くこと。龍神バスも現金が確実で、ICカードの可否は乗車前に確認を。
定休
つぼ湯は最大二人で交替制のため、混む時間帯は1時間以上待つこともある。石けん・シャンプーは使用不可(湯がそのまま川へ流れるため)。湯はかなり熱く、加水用の水が用意されている。体は先に路地向かいの公衆浴場で洗っておく。
別ルート
太平洋岸の新宮駅からは熊野交通バスで本宮経由・約1時間40分。名古屋方面から入る場合や海沿いを続けて回る場合はこちらが良い。湯の峰と川湯温泉はバスで数分の距離で、通常はセットで訪れる。
降りたあと
湯の峰温泉バス停から集落へ下りる。路地沿いに公衆浴場があり、そのすぐ下の川床に建つ小さな木の小屋がつぼ湯。短い板の橋を渡って入る。

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