秘窯の里 大川内山
実写(ライセンス済み)Houjyou-Minori / CC BY-SA 3.0

佐賀北西部・伊万里No.527★★地図で見る →

秘窯の里 大川内山

〜鍋島藩の御用窯が続く谷〜

craft穴場——実はすごい

伊万里の南、行き止まりの谷の奥に開けた焼きものの里。佐賀藩は関所の内側でここに最上級の磁器を焼かせた。いま通りに並ぶ窯元は、その工房の流れをくむ。

  1. 起点博多駅
  2. 有田乗換の鉄道+バスJR・松浦鉄道+バス
  3. 降車伊万里駅(松浦鉄道・JR筑肥線)
  4. そこから
  5. 秘窯の里 大川内山

狙い目

知られていない場所ではない。県の観光サイトに載り、バスも上ってくるし、夏の風鈴と秋のまつりの時期には人で埋まる。それ以外の季節に人が薄いのは、単に道が谷の奥で行き止まりだからだ。大川内山を通り抜ける人はいない。行く人だけが来る。

場所

佐賀のほかの記事 14件・地図で開く →

見どころ(歩く順)

鍋島藩窯橋Akiyoshi's Room / Public domain
  1. 鍋島藩窯橋入口に架かる橋。欄干に染付の陶板が張られ、白磁の壺が据えられている
  2. 鍋島藩窯公園登り窯と唐臼小屋が復元され、斜面には古窯跡が残る一帯
  3. 陶工橋石積みのアーチが目を引く小さな橋。公園から関所跡へ向かう道筋にある
  4. 鍋島藩窯関所跡藩が谷への出入りを検めた場所。江戸期の道筋がそのまま残る
  5. 窯元通り現役の窯元が軒を連ねる通り。店構えも作風も一軒ずつ違う

実際の行き方

  1. 博多駅→有田駅(JR)、有田駅→伊万里駅(松浦鉄道)。
  2. 伊万里駅→大川内山(谷を上るバス、またはタクシー)。
  3. 伊万里鍋島焼会館→鍋島藩窯橋→鍋島藩窯公園(通りを上っていく)。
  4. 鍋島藩窯公園→関所跡→窯元通り(会館へ回って下りる)。
有田乗換で伊万里へ、そこからバスで谷を上る
博多からJRで有田へ出て、松浦鉄道に乗り換えて伊万里へ。逆回りに筑肥線で唐津を経由するルートもある。伊万里駅からは大川内山行きのバスがあり、なければタクシーになる。最後の区間は山あいをゆっくり上っていく道だ。
谷を下って伊万里駅へ戻る
帰りも同じバスで伊万里駅まで下る。駅は松浦鉄道とJR筑肥線の起点になっている。行き止まりの谷に入るバスは本数が多くないので、帰りたくなってからではなく、着いた時点で最終便を確かめておきたい。入口の伊万里鍋島焼会館で聞くのが確実だ。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

どんな場所か

大川内山は、伊万里の南に切れ込んだ細い谷のいちばん奥にある。三方は険しい岩山で塞がれている。その地形こそが理由だった。佐賀藩は御用窯をこの奥に置き、一本しかない道に関所を構えて、陶工とその技を外へ出さないようにした。焼かれたものは売り物ではない。鍋島焼は将軍家への献上と大名同士の贈答のためのもので、市場の都合とは無縁の基準でつくられた。いま谷には三十軒ほどの窯元があり、その店先がそのまま通りに面している。

おすすめの楽しみ方

予定を詰めず、歩きながら決めるのがいい。窯元は休みの日がそれぞれで、一本の通りを出たり入ったりすること自体が楽しみになる。夏のあいだは谷じゅうに風鈴が吊られ、窯元市はゴールデンウィーク、鍋島藩窯秋まつりは11月の最初の五日間で、このときは里全体がいっせいに開く。それ以外の時期なら、古窯跡へ上る道がいちばん静かだ。

歴史・背景

17世紀の肥前は、すでに日本の磁器の中心地だった。藩はその中でも最上のものを商いから切り離すため、御用窯をこの谷へ移す。染付と本焼きはここで行い、上絵付けは有田で仕上げた。一か所に技のすべてが揃わないようにしたのである。関所は人の出入りを押さえた。この仕組みは1871年、廃藩置県で庇護者を失って終わる。鍋島の技は今泉今右衛門家が受け継いで残り、谷の窯元はその再興から今日の仕事を数えている。

行く前に

現金
谷を歩くだけなら費用はかからない。駐車場も通常は無料で、イベント開催日だけ料金がかかる。窯元は工房であると同時に店で、持ち帰るのは器だ。カードだけでなく現金を用意し、買う前に荷造りのことも少し考えておくといい。
知っておきたいこと
窯元はそれぞれ営業時間と休みが違うので、予定を組むより歩きながら決めたほうが合う。谷は狭く雨が溜まりやすい。石畳の通りも古窯跡へ上る石段も濡れると滑る。尾根に隠れて日が落ちるのも早い。
別ルート
車なら長崎自動車道の武雄北方インター、または西九州自動車道の伊万里東府招インターから。入口に大きな駐車場がある。同じ鉄道でつながる有田と組み合わせれば、この遠さがまとめて一日の焼きもの行になる。
降りたあと
伊万里駅からバスに乗り、谷の終点で降りる。伊万里鍋島焼会館の前を過ぎる道が散策の始まりで、最初に渡るのが磁器の陶板で飾られた橋だ。

近くのノート

距離は地図上の直線で、移動時間ではありません。